伏見工業総監督の山口良治氏 IRBラグビースピリット賞を受賞!
(写真:BBM)
日本ラグビーフットボール協会は19日、IRB(国際ラグビーボード)の今年の「IRBラグビースピリット賞」に、元日本代表選手で京都市立伏見工業高校ラグビー部前監督の山口良治氏(70)が選出されたと発表した。
同賞は、ラグビーというスポーツを通じて、他の人々を助け、励まし、勇気づけた人物に贈られ、自己の利益を求めない行動により、他の人々の人生に影響を与え、社会に著しい貢献をし、世界のすべての分野においてスポーツがどれだけ素晴らしい力となり得るかを示した人物を顕彰するもの。
昨年はIRBが定める「ラグビー殿堂」(IRB Hall of Fame)に、元日本代表選手で現関西ラグビーフットボール協会会長の坂田好弘氏が日本人で初めて選ばれたが、「IRBラグビースピリット賞」の受賞は山口氏が日本人として初めて。
11月18日夜(日本時間19日)にアイルランドのダブリンで行われた表彰式では、病気療養中の山口氏の代理で出席した憲子夫人に、IRBのオレガン・ホスキンス副会長から銀製のトロフィーが贈られ、次女の東亜子さんが英語で感謝の言葉を述べた。山口氏は家族を通じ、「この度は、このような素晴らしい賞をいただき、この上ない光栄と喜びでいっぱいです。早く元気になって、また一人でも多くの人々にラグビーの素晴らしさを伝えていきたいと思います。ありがとうございました」とコメントを発表した。
山口氏の受賞理由について、IRBは「山口氏は伏見工業高校の監督、教師、そして、人生の師として多くの生徒の人生をより良いものへと変えた」ことを挙げている。「1970年代前半に赴任した当初、弱小チームだった同校は荒廃していたが、山口氏はラグビー精神を変革への推進力として問題に正面から立ち向かい、数年のうちに同校を全国高校大会優勝に導くとともに、その後の20年間を通じて国内トップレベルを維持した」(IRBメディアリリースより)。
山口良治氏は、1943年福井県出身。若狭農林高校、日本体育大学、京都市役所でプレーし、日本代表として13キャップを持つ。フランカーながらトーキックによるゴールキックの名手としても知られ、日本代表がイングランド代表に3−6と迫った1971年のテストマッチ(東京・秩父宮ラグビー場)では、PGによる日本の唯一の得点を挙げた。
現役引退後は指導者の道に進み、1975年に伏見工業高校の監督に就任。同校を全国制覇4度の強豪に育て上げた(総監督時代を含む)。赴任から5年目に同校を高校日本一に導いた過程は作家馬場信浩氏のノンフィクション「落ちこぼれ軍団の奇跡」で取り上げられ、のちに『スクール☆ウォーズ 〜泣き虫先生の7年戦争〜』としてテレビドラマ化された。
現在は伏見工業高校ラグビー部総監督で、京都アクアリーナの館長も務めている。