『復活』の足音。レッドスパークス、サテライトリーグ制す。
(撮影:新屋敷こずえ)
「はよ準備して(福岡に)かえろ。クリスマスイブだけんね」
キャプテンがみんなに声をかけた。通過点とは分かっているけれど気分がいい。
コカ・コーラウエストレッドスパークスが、パナソニックワイルドナイツに47−39で勝って優勝した。トップリーグのサテライトリーグ(ラグビーマガジンカップ)、チャンピオンシップ決勝だ。12月24日、13時のキックオフから80分後。太田・パナソニックグラウンドで、豊田将万主将率いるレッドスパークスが記念の写真におさまった。
レッドスパークス(サテライトA/1位)にとっては、1月5日から始まるトップチャレンジ1前の最終戦。トップリーグ再昇格を今季のターゲットに生きるチームとしては、決戦前に勝ってはずみをつけたかった。
しかし、前半はワイルドナイツ(サテライトB/1位)が暴れる。開始2分、スクラムから攻撃を継続してWTB鶴ヶ崎好昭が先制トライを奪うと、11分にPGで加点し、28分、31分、36分とトライ。ブレイクダウンの圧力とタテへの激しさで流れをつかみ、前半を27−14とリードした。
「今季やってきたことのすべてを、と言っていたのに、前半の空気は悪かった」
レッドスパークス・豊田主将は前半をそう振り返った。しかし、「自分たちが何をやってきたのか」をハーフタイムに確かめ合ったことが奏功したか。後半の赤いジャージーは、時間の経過とともに躍動した。
反攻は後半立ち上がりからだった。全員の反骨心と集中力が高まって攻め続け、レッドスパークスがパナソニックのトライラインに迫る。その猛攻こそラストパスをインターセプトされ逆にトライを許したものの(14−34と差を広げられるも)、それでも気持ちは切れなかった。
8分、キックレシーブから連続攻撃を見せてFL豊田主将がインゴールに駆け込む。17分にはHO有田隆平の突破からジョニー・ファアマトゥアイヌが。22分は相手ペナルティーから速攻してFL山下昂大が飛び込み、24分、29分にもたたみかけた。ファイナルスコアは47−39。フィニッシャーのWTB小?泰貴が走りきり、途中出場のSH榎本光祐がテンポを上げるなど、個々が責任を果たしての逆転勝ちだった。
『RE BORN』を今季のスローガンに掲げ、生まれ変わることを誓ったレッドスパークス。ディフェンシブなスタイルから、『攻め勝つ』思想への変換は見てとれた。豊田主将が、「トップチャレンジ前に、ボールを持って攻めないと自分たちのリズムが出ないと再認識できてよかった」と言えば、山口智史ヘッドコーチも「今季はアタックマインドを強く持って、攻め勝つ、走り勝つと言ってきた。それができた」と語った。ただ両者は、「精度がまだまだ」との声もそろえる。「トップチャレンジでは圧倒したい」と向いている方向は同じだけに、残された僅かな時間にやれることはやり尽くすつもり。
このファイナルも含め相手がAチームではないとはいえ、サテライトリーグで東芝、サントリーなど、チーム力の充実している相手に勝ったレッドスパークス。「それらの勝利は、少なからず自信になっているはず」と言うのは、向井昭吾GM兼総監督だ。
「いまのチームは、『もう一度トップリーグへ』、『新たなスタイルを』と、いくつかのモチベーションを持って戦えている。そういう気持ちが、今日のアタックからも感じられた」
1月5日に始まるトップチャレンジ1。そのステージで圧倒を。全員の意志は固まっている。そして日本選手権へ。新たな存在感を示す舞台にしたい。