女子 2012.11.24

女子ラグビー界に笑顔咲く クラブNO.1は名古屋レディース

女子ラグビー界に笑顔咲く クラブNO.1は名古屋レディース


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感謝のボールを受け取った岸田則子さん(日本ラグビー協会女子委員会委員長)
(撮影:松本かおり)


 



 記念の日に、一番の功労者に記念のボールが贈られた。拍手が長く続いた。ピッチに笑顔が並んだ。
 11月23日と言えば「早慶戦」を思い浮かべる人も多いけれど、女子にとっては『女子ラグビー交流大会』なのである。その第25回大会がいつもの江戸川区陸上競技場で開催された。そして節目の年に、岸田則子さん(日本ラグビー協会女子委員会委員長)に感謝の気持ちが伝えられた。



 日本女子ラグビー連盟が発足した1988年に第1回大会が行われた同大会。初年度は駒沢競技場が会場となり、翌年から2年間は埼玉のローデムパークで催された。そして、第4回大会から場所を江戸川区陸上競技場に移して22回目。岸田さんは今年も元気にピッチを駆けた。アジア大会と重なって日本を離れていた2年前を除いて、すべての大会でプレーしてきた。リーダーであり、裏方として運営面を支え、さらにプレーヤーとして楕円球を追う。日本ラグビーに『殿堂入り』の制度が出来たなら、間違いなく選ばれる人だ。



 記念のボールに込められた皆の気持ちを感じて、飾りのない言葉を口にした。
「今年もみんなが集まってきた光景を見られて嬉しいですね」
 毎年、ラグビーと長くかかわる人たちと顔を合わせられるこの日が楽しみだ。7人制ラグビーを入り口に、右肩上がりで増え続ける若い世代の盛り上がりも嬉しい。
「明日のガールズフェスティバル(熊谷/中学生までの女子が集まる)には350人ほど集まるらしいんですよ」
 追い風が吹いている。岸田さんも、もっともっと走り続ける。



 四半世紀の歴史を重ねて迎えた今大会には変化があった。新たなコンテンツが加わったのだ。
 今大会から行われた日本ラグビーフットボール協会会長杯。クラブチームナンバー1決定戦である。関東大会と関西大会のナンバーワン、日体大ラグビー部と名古屋レディースが対戦した頂上決戦。ちなみに、日体大は関東大会チャンピオンではないが、単独チームとして同大会に出場したのは2チームだけで、世田谷レディースに勝って今大会への出場権を手にした。



 試合は、前半から名古屋レディースが押した。ゲームをコントロールするのはベテランSO兼松由香。堅実なプレーでチームに好テンポを呼び、FB伊藤絵美の先制トライが生まれるとチームに勢いが出た。前半だけで22-0とリード。後半も2トライを追加し、計6トライで32-7と快勝した。
 初の頂点に立った名古屋レディースも今年が創立25年目と、大会と同じ道を歩んできた。CTB後藤萌美主将は、「待ち望んでいた日本一。目指してきたものを手にできて最高の気分です」と全部員の気持ちを代弁した。



 日曜日の活動をメインに、土曜と平日(週1日)にも練習を重ねる同クラブ。この日は、選手間の連係がよくボールがたくさん動いた。後藤主将は高校時代までバスケットボールに打ち込んできたが、大学進学と同時に名古屋レディースでラグビーを始め、プレー歴8年目。現在は安城南中で保健体育科の教諭として働きながら頂点を目指して活動を続け、ついに日本一チームのリーダーとなった。


 


 敗れはしたが後半に1トライを返すなど、日体大も、最後まで前へ出る気持ちだけは失わなかった。
「ミスもあったけど、自分たちのやりたいことはやれた部分はありました」
 そう語ったのはCTB鈴木美緒主将。よくパスをつなぎ、よく走った点を評価した。
 そして、次回への飛躍を誓った同主将は、あらためてラグビー愛を語った。
「やっぱり15人制は楽しいですね。15人でプレーしていると、すごく仲間とのつながりを感じるんです。試合を終えたあとの、『やった感』が7人制とはまた違う(笑)」
 会長杯争奪戦以外にも、エンジョイメントの部、一般の部、三地域代表交流戦なども行われた一日。鈴木主将同様、15人制の魅力をあらためて味わった人たちがたくさんいた。


 


 


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初の会長杯を手にした名古屋レディース
(撮影:松本かおり)


 


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名古屋レディースは各ユニットの連係が強く、安定感があった
(撮影:松本かおり)

 

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