海外 2012.08.20

10年師弟愛 ホワイトのもとで栄光と挫折知る若大将ラスボーン 復活へ

10年師弟愛 ホワイトのもとで栄光と挫折知る若大将ラスボーン 復活へ

 2009年に引退した元オーストラリア代表CTBのクライド・ラスボーン(31歳)が、2013年のスーパーラグビー出場を目指して、ブランビーズでトレーニングをしていることが明らかになった。20日、同チームが認めた。
 選手時代の晩年には股関節や膝、太もも裏などの怪我に苦しみ、27歳の若さでブーツを脱いだラスボーンだが、現在は「これまでで最高の健康状態」だと地元メディアに語っている。ブランビーズ側もラスボーンの挑戦を歓迎しており、彼が契約を勝ち取れるかは、10月からの本格的なトレーニングで動きをチェックしてからになる。



 実は、今年2月にブランビーズのジェイク・ホワイトHC(ヘッドコーチ)からラブコールを受けていたが、そのときは現役復帰を否定した。同時に、自分が長年うつ病に苦しんできたことを公にした。しかし、ホワイトHCからの次の一言がラスボーンの心に火をつけたのかもしれない。「ここに来て、ブランビーズの選手たちにジャージーを手渡し、彼らに、プレーできることがいかに幸運かを語ってくれ」(『キャンベラ・タイムズ』紙より)。



 ジェイク・ホワイトとクライド・ラスボーンは、10年前から深い師弟関係にある。ラスボーンは南アフリカのダーバン出身で、U21南アフリカ代表のキャプテンとして、2002年に地元で開催されたU21ラグビーワールドカップで優勝を遂げた。そのときの指揮官が、同じ南ア人のホワイトだった。
 将来の南アを背負って立つ若大将と期待され、シャークスでプロのキャリアを始めたラスボーンだが
、2002年末、父方の祖母の故郷であるオーストラリアへ移ることを決断し、ブランビーズ入り。そして、スプリングボックス(南ア代表)ではなくワラビーズ(豪州代表)の道を進み、2004年6月のスコットランド戦でデビュー後、引退するまでに26キャップを獲得した。
 一方のホワイトは、2004年にスプリングボックスのヘッドコーチに任命され、就任早々、豪州キャンベラにいたラスボーンのアパートを訪ねたという。結局、愛弟子が母国ラグビー界へ戻ることはなかったものの、師匠は2007年のワールドカップで優勝を成し遂げた。



 時は流れ、2011年シーズン後、ホワイトはラスボーンの古巣であるブランビーズの指揮官に就任。今年は若手を積極的に起用し、スーパーラグビーの豪州カンファレンス優勝を最後まで争った。ただ、栄光と挫折を知る、ラスボーンのような経験豊富な男が足りなかった。
 師の熱いメッセージにかつての愛弟子は心を動かし、再び走り出した。もしかしたら、勇敢なハードタックラーは復活するかもしれない。そして、強い絆で結ばれた2人は、また一緒に、同じゴールを目指すことができるかもしれない。


 


 


rathbone


 


南ア新聞『THE CITIZEN』紙(上の画像)など、地元メディアは2002年のU21ラグビーワールドカップで栄冠を獲得したクライド・ラスボーンたちを英雄として大々的に取り上げた。世界一を遂げた当時のベイビーボックスには、CTBジャン・デヴィリアス(現・スプリングボックス主将)、NO8ジュアン・スミス(チーターズ)、FLスカルク・バーガー(ストーマーズ)、SHフーリー・デュプレア(サントリー/日本)、PRガースロ・スティアンカンプ(トゥールーズ/仏)、SHリッキー・ジャニュアリー(リヨン/仏)、WTBアシュウィン・ヴィレムセ(引退)など、のちの世界的スターたちが大勢いた


 

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