女子 2012.07.08

【中国発レポート】 発展途上の文明的野蛮運動 女子日本代表は惜敗

【中国発レポート】 発展途上の文明的野蛮運動 女子日本代表は惜敗


kimigayo


決勝戦前に堂々と君が代を歌う女子15人制日本代表の選手たち
(撮影:萬井 淳 Yoroi Atsushi)


 


 


 中国江蘇省昆山で行われた四カ国対抗はカザフスタンの優勝で幕を閉じた。3年前に50点の大差で敗れた日本は、今回は8−17と大きく差を縮めた。フィットネスで充分に相手を上回り、内容的には完全に互角の勝負だっただけに、フェイズを重ねた後のボールのリサイクル、ライン展開の正確性が加われば充分に勝機があったゲームであった。次回の対戦で雪辱を果たせるよう応援したい。


 


 3位決定戦は「香港 vs. 中国」の対決。中国代表は体格、スピードに勝るも、経験に富む香港代表が危なげのない展開で勝利を収めた。
「中国は五輪に向けて7人制を強化している。彼女達は15人制の経験はほとんどなく、有っても2年足らず。7人制、15人制の強化両立は難しい」と今大会のアシスタントコーチを任された元中国代表の朱培厚氏は語る。


 


 大会が行われた江蘇省昆山は上海市からも車で1時間以上かかる郊外の町。開発中の地域でもあり、会場の周辺は特に目立った建物もなく、人影もまばら。大会チケットは二日通しで50元(約600円)だが、電話をするとゲートまで持ってきてくれた上、「無料でいいよ」とのこと。「今は中国に『ラグビーというスポーツ』を理解してもらう段階で、チケット売っても売れないし、ね」と笑顔で話す。なるほど、チケットの裏には「15人制はFW8人、BK7人でプレーし…」から始まり、ピッチの広さや前後半の時間、得点の仕方が印刷されている。会場には多く見積もって100名程度であろうか、上海から駆け付けた10名足らずの日本サポーター以外は、通りかかった地元民が無料なのでなんとなく観戦している、という状態。


 


  「15人制ラグビー大会」のメインタイトルの下にサブタイトルで「文明的野蛮運動!!」。
 有名な格言の「ラグビーは紳士が行う野蛮なスポーツ」という言葉の転載だろうが、果たして言葉の髄が伝わっているのかな、と思わずニヤリとした次第。


 中国にラグビー協会が設立されて15年。この国でどのようにラグビーが根付いていくか、五輪種目となった今、これからが楽しみである。


(文・写真/萬井 淳 Yoroi Atsushi)


 


news 1


カザフスタンに体格で劣る日本女子だが、フィットネスでは相手を上回った


 


china stadium


立派なスタジアムでの試合。7人制に力を入れている中国が五輪でメダルを獲ればラグビーも盛り上がるはず


 


asia champion


1994年から5大会連続で女子ワールドカップにも出場しているカザフスタン。アジア最強の座は揺るがず


 

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