Show Me the MONEY ! 一流ラグビー選手はお金持ち
サッカーの世界的人気チームであるマンチェスター・ユナイテッドに4年契約で移籍が決まった香川真司の年俸は、3億円とも6億円とも言われています。今年からメジャーリーグで活躍している野球選手のダルビッシュ有は、テキサス・レンジャーズと6年総額約46億円で契約。夢のある話です。
2012年6月に米経済誌フォーブスが発表した長者番付によると、昨年最も稼いだスポーツ選手は、ボクシング世界王者のフロイド・メイウェザー(アメリカ)で年収約67億円だそうです。2位もボクサーが続き、3位にゴルフのタイガー・ウッズ(47億円)。サッカーで最もリッチなのは元イングランド代表のデイヴィッド・ベッカム(LAギャラクシー)で、年収約36億円とか。そのうちの約29億円がスポンサー収入だと言われていますから、世界で最も人気が高いスポーツであるサッカーの最高年俸選手は、ロシアのアンジ・マハチカラで手取り約22億円をもらっているカメルーン代表のサミュエル・エトーということになります。
ちなみに、野球ではヤンキースのアレックス・ロドリゲスが最高年俸(約25億円)。日本人で最も稼いでいるスポーツ選手はイチロー(マリナーズ)で、スポンサー収入を合わせた年収は約20億円だそうです(年俸14億円)。
アメリカ代表として昨年のラグビーワールドカップに出場し、昨季はプレミアシップ(イングランド最高峰リーグ)前王者のサラセンズでプレーしていたLOヘイデン・スミスが、今年の4月、アメリカンフットボール(NFL)のニューヨーク・ジェッツと契約を結んで話題になりました。さらに、アメリカラグビー史上最年少の17歳で7人制代表となり、U20代表でも活躍するなど同国ラグビー界の期待の星であったネイト・エブナー(22歳)が4月末のNFLドラフト会議で、ニューイングランド・ペイトリオッツから6巡目で指名され、入団したこともラグビー界にとってはショッキングなニュースでした。アメフトでは、NFL史上最高のクォーターバックのひとりとされるペイトン・マニングが5年総額約80億円でデンバー・ブロンコスと契約しましたから、アメリカンドリームは間違いなくそっちの世界にあるということです。
ここまでラグビーリッチマンの話をしていませんが、もちろん、プロスポーツとしてのラグビーにも夢があります。スポーツ総合サイト『ESPN』が2012年5月に報じた記事によると、サモアで最も稼いでいるスポーツアスリートは、クボタスピアーズに所属するCTBセイララ・マプスアであることがわかりました。ESPN調べで、年俸は84万6600USドル(約6800万円)だとか。しかし今季、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスに同じサモア代表のスターWTBアレサナ・ツイランギが加入しましたから、トップの座は替わったかもしれません。ラグビー選手が最高額アスリートなのはクック諸島も同じで、スタッド・フランセ(フランス)に所属するPRスタン・ライトは年俸約1200万円というデータが出ました。ちなみにパプアニューギニアでは、ラグビーリーグ(13人制)でプレーする選手が約2200万円で最高リッチなアスリートです。
ラグビーユニオンがプロ化して、約17年。他競技のスター選手たちと比べれば、ラグビー選手の年俸は見劣りするかもしれませんが、ミリオンダラーは間違いなく存在します。1995年のワールドカップで世界を震撼させたオールブラックスのWTBジョナ・ロムーに対し、NFLのダラス・カウボーイズが600万USドル(当時約6億4000万円)で獲得に動いたと騒がれました。4年後もスーパースターだったロムーは1999年4月にアディダスと1000万NZドル(当時約6億5000万円)のスポンサー契約を交わし、同年秋のワールドカップ後には、プレミアシップに復帰したばかりのブリストルが110万ポンド(当時約1億9000万円)のオファーを出したと言われています。それでも、オールブラックスとしての誇りがあるロムーはNZに留まったため、移籍は実現しませんでした。
しかしながら2006年、当時スーパーラグビーに参入したばかりだったウェスタン・フォースがオーストラリア代表のSO/CTBマット・ギタウを獲得したとき、遂にラグビー界にも1億円プレーヤーが誕生したと話題になりました。年俸150万豪ドル(当時約1億4250万円)でサインしたと、地元メディアは報じました。
そして2009年4月、フランス代表だったルースFWセバスチャン・シャバルは、年俸100万ユーロ(当時約1億3000万円)の3年契約でラシン・メトロに入団したといいます。
しかし、現在最も商品価値が高いのは、オールブラックスの司令塔ダン・カーターでしょうか。昨年のワールドカップで怪我をする前の4月に、フランスのラシン・メトロが3年総額400万ポンド(当時約5億4000万円)という、ラグビー史上最高額でオファーを出したと報じられました。これをカーターは断り、ニュージーランド協会と4年契約を結びます。総額600万NZドル(当時約3億8500万円)と推測され、所属チームのクルセーダーズ(カンタベリー)やスポンサー収入を合わせれば年収1億円を超えます。同時期にNZ協会と4年契約を結んだリッチー・マコウ代表主将も、ほぼ同額でしょう。
いまや、ラグビーの世界で最も金を稼げる国はフランスか日本と言われていますが、イングランド代表の英雄であるSOジョニー・ウィルキンソンは、2009年に年俸70万ポンド(当時約1億円)でフランスのトゥーロンへ移籍しました。ウエールズのオスプリーズは、代表BKのジェームズ・フックを引き留めるために、スポンサーからお金を調達して3年総額100万ポンド(当時約1億3000万円)を用意しましたが、2011年に仏・ペルピニャンから年俸75万ポンド(当時約9600万円)で奪われ、オスプリーズのチェアマンは「フランスのクラブに資金力では到底かなわず、対策を講じなければウエールズのトップ選手はすべて海外に流出してしまう」と嘆いたそうです。
オーストラリアの場合は、ライバル競技のラグビーリーグ(13人制)の方が人気があり、ワラビーズにはいつも熱視線が送られています。今年6月にレッズと3年契約を更新した天才型フットボーラーのSOクウェイド・クーパーですが、2010年8月にはNRL(豪13人制最高峰リーグ)のパラマタ・イールズからトップクラスの1季85万豪ドル(当時約6600万円)を提示されたようです。しかしながら、今や15人制でも稼げるようになっており、2011年4月、スーパーラグビーに参入したばかりのメルボルン・レベルズが、オーストラリア代表の若きスターFBカートリー・ビールを年俸40万豪ドル(当時約3500万円)の2年契約で獲得しました。これとは別に、豪州協会との契約金や代表としての出場給・勝利給などがあり、それにスポンサー収入なども合わせると、ビールは22歳の若さでミリオネアーになったのです。約2カ月後にレベルズに加わった当時20歳のジェームズ・オコナーも、ほぼ同額でサインしたと言われています
最後に、こちらもラグビー熱が高い南アフリカ。NZや豪州と同様に、代表契約と所属クラブとの年俸は別であり、国内チーム間で移籍する際のトップ選手の相場は、年俸約3500万円前後と言われています。彼らは南ア人の多くが憧れるセレブですが、それでもやはり、海外からのオファーには敵いません。現在の代表主将であるCTBジャン・デヴィリアスがマンスター(アイルランド)でプレーしていたとき、年俸は約4500万円(400万ランド)でした。2009年からラシン・メトロ(フランス)に移籍したユーティリティBKのフランソワ・ステインは年俸75万ユーロ(当時約9800万円)。2011年6月、世界で最もリッチなクラブのひとつである仏トゥーロンは、スプリングボクス史上最多トライスコアラーのWTBブライアン・ハバナ獲得に動き、交渉に割り込んできたハバナの父親が3年総額2100万ランド(当時約2億5000万円)を要求したため破談に終わりましたが、それでも3年1800万ランド(当時約2億1000万円)でオファーを出したと言われています。
しかし、彼らが最もうらやむのは、CTBジャック・フーリーでしょう。同じく南ア代表のフーリーは、南アメディアによれば、2年総額2200万ランド(約2億3000万円)とも言われる高額で2012年度シーズンから神戸製鋼コベルコスティーラーズに加わりました。
スゴイ!
かつてオーストラリア代表の花形選手だったFLジョージ・スミスがサントリーサンゴリアスと3年契約を結んだ際には、年俸80万ユーロ(当時約9500万円)と海外メディアは報じました。
そして、今年も新たなスーパースターたちが日本でプレーします。
世界歴代3位のテストマッチトライ記録を持つ元ウエールズ代表WTBシェーン・ウィリアムズは、トップイーストディビジョン1(関東地域リーグ)の三菱重工相模原ダイナボアーズから1季60万ポンド(約7500万円)とも言われる高額オファーを受け、引退を先延ばしにしました。
2011年のニュージーランド最優秀選手であるW杯優勝メンバーのルースFWジェローム・カイノは、トヨタ自動車ヴェルブリッツに少なくとも年俸約100万NZドル(約6800万円)以上で2年契約。神戸製鋼に入った元豪州代表キャプテンのFLロッキー・エルサムは1季100万豪ドル(8000万円)程度とみられています。
さらに、ラグビーリーグ界も触手を伸ばす現役オールブラックスのスーパースター、CTBソニー=ビル・ウィリアムズもジャパンラグビートップリーグ参戦の発表があるかもしれません。入団先として有力視されているのは、パナソニックワイルドナイツ。『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙は、1季150万USドル(約1億2500万円)のオファーが出されていると報じました。もし契約が実現すれば、日本ラグビー界がますます華やかになるのは間違いありません。
ぜひ、生で見てみたいものです。
激しいトレーニングと試合で肉体を酷使し、厳しいプレッシャーのなかで生き続けるトップアスリートの選手寿命は長くありません。プロ選手には、お金も必要です。
「Show Me the Money!」
なんて彼らが言っているかどうかは知りませんが、ラグビー選手もいつか、世界のスポーツ長者番付に載る日が来るでしょうか。
※ この記事で取り上げた年俸などは、あくまで推測です。円換算は、情報が配信された当時の為替レートで計算。
(写真:BBM/フォースに移籍した際、ラグビーの1億円プレーヤー誕生と注目されたマット・ギタウ)