ラグビー大国の代表監督人事 NZ本命はハンセン 南アはスマル?
ニュージーランド・ラグビー協会は、オールブラックスの新監督を12月16日に発表することを明らかにしました。ワールドカップ優勝という大目標を達成したグレアム・ヘンリー監督が辞任したため、現在そのポストは空席となっていますが、アシスタントコーチとしてヘンリー氏を長年支えたスティーヴ・ハンセン氏が就任するのはほぼ確実と見られています。注目は、契約期間と彼をサポートするスタッフ人事、といったところでしょうか。
一方、4年前の世界チャンピオンである南アフリカ代表(スプリングボクス)は監督選びが混とんとしてきました。今年のワールドカップで指揮を執ったピーター・デヴィリアス監督が続投に意欲を見せましたが、準々決勝敗退は屈辱的結果であり、同氏に対する選手からの信頼も薄いことから、すんなりOKとはならず。2007年にブルズ監督として初めて南アにスーパーラグビー優勝をもたらしたハイネケ・マイヤー(前レスター・タイガース監督)や、非白人指導者として待望論も強いアリスター・クッツィー(現ストーマーズ監督)、国内随一の分析家であるラシー・エラスムス(南ア代表テクニカルアナリスト/WP協会コーチングディレクター)などが対抗馬に挙がっていました。
ところがここへ来て、ストーマーズ(WP)の元監督であるハルト・スマル氏の名が急浮上してきました。アイルランド代表のアシスタントコーチとして今年のワールドカップに参加したFW指導のスペシャリストは、その手腕が認められて7月にアイルランド協会と新たな2年契約を結んだばかりですが、南アフリカ国内で指導をしていた頃の彼が「多くの非白人スター選手を育ててきた」事実を南ア協会は再評価。スーパーラグビーでは2004年の準決勝進出が最高位でしたが、2000年と2001年には国内最高峰選手権カリーカップで優勝を遂げ、WTBブレイトン・ポールセ、LOクイントン・デイヴィス、SHボラ・コンラディー、PRエディー・アンドリュース、WTBイーゴン・セカンズといったカラード選手を大きく羽ばたかせました。
ラグビー協会のトップが非白人である現在の南アフリカで、露骨な優遇政策は行われていないものの、国の大多数を占める黒人・カラードのラグビー支持者拡大は重要テーマであり、非白人選手に対する育成・起用方針はボクス監督人事で大事なポイントとなっているようです。
ちなみにスマル氏は、2007年のワールドカップではFWコーチとしてボクスの世界一に貢献。今年のニュージーランド大会で彼が指導したアイリッシュは準々決勝敗退に終わりましたが、オーストラリアを破る大金星で“最強のダークホース”と呼ばれたのは記憶に新しいところです。
南アフリカ・ラグビー協会の通常理事会が来年1月26日に予定されているため、翌日にスプリングボクスの新監督は発表される見込みです。
(写真:スプリングボクス新監督の有力候補に浮上したスマル氏。ネックはアイルランド協会との契約か)