国内 2022.08.08

東洋大ラグビー部が新しい人工芝の上で活動開始。グラウンド開きでOB、俳優の高橋光臣さんがゴールキック

[ 編集部 ]
東洋大ラグビー部が新しい人工芝の上で活動開始。グラウンド開きでOB、俳優の高橋光臣さんがゴールキック
左足からのゴールキックを成功させた高橋光臣さん。(撮影/松本かおり)
ゴールキック成功に大盛り上がり。選手たちとハイタッチ。(撮影/松本かおり)
神主さんによる安全祈願、必勝祈願がおこなわれた。(撮影/松本かおり)
必勝を誓ってダルマの片方の目に墨を入れた齋藤良明慈縁主将。(撮影/松本かおり)



 青春時代を過ごした場所に戻った。
 8月7日の午前。東洋大の川越キャンパスに俳優、高橋光臣さん(40歳)の姿があった。

 若き日を過ごした東洋大ラグビー部のグラウンド開きがおこなわれたからだ。
 現在、ラグビー部の指揮を執る福永昇三監督は先輩。長い付き合いがある。

 2022年度シーズン、東洋大は29年ぶりに関東大学リーグ戦1部を舞台に戦う。
 その節目の年は、人工芝の張り替え時期と重なった。6月末から周辺のトレーニング施設で活動してきた選手たちは、同日からあらためて自分たちのグラウンドを駆けた。
 以前よりふかふかで、快適になった。

 そのグラウンド開きの日に福永監督は、OBの高橋さんを招待した。
 高橋さんは25歳の頃、スーパー戦隊シリーズのひとつとして子どもたちに人気のあった「ボウケンジャー」のボウケンレッド役で人気者となった。2019年のドラマ「ノーサイド・ゲーム」にも出演した。
 摂津五中、啓光学園でもプレーしたラグビーマンだ。

 グラウンド開きは当初の予定では川越ラグビースクールを招き、埼玉ワイルドナイツと東洋大ラグビー部員によるラグビー教室が開かれることになっていた。
 しかしコロナ禍の影響を受けて簡素化した。

 地元の神主による安全祈願、必勝祈願をおこなった。大学関係者や吉田善一ラグビー部部長も参加した。
 そして福永監督は、部員たちと同じように夢を追い続けている存在としてOBの高橋さんにも声をかけた。

 高橋さんの出番は最後に用意されていた。同日のイベントの締めくくりとして、ゴールキックを蹴ってもらった。
 全部員が見守る中、22メートルライン付近にボールをプレース。左足から蹴り出された楕円球は、綺麗な弧を描いてゴールポストへ向かった。

 ボールは右のポストに当たり、バーを越えた。部員たちから歓声が上がる。高橋さんは両腕を天に突き上げた。
 年齢差を超え、OB、現役関係なく、そこにいるすべての者たちが一体感を得られた瞬間だった。
 誰もが笑顔だった。

 ラグビー部での生活は重なっていないものの、「俳優としての駆け出しの時期から可愛がっていただいた」と福永監督との想い出を話す高橋さんは、「お役に立てるなら」と、忙しいスケジュールの合間を縫って青春の地に足を運んだ。

「私たちの頃は土で、毎日グラウンド整備が大変でした」と目を細めた。
「この恵まれた環境の裏には、多くの人たちの支えがある。選手の方々にはそれを忘れず、感謝の気持ちをもって4年間という限られた時間の1分、1秒を楽しんでほしいですね」と後輩たちにエールを送る。

 高橋さんは大学時、リーグ戦2部で戦った。4年生のラストシーズン、3部との入替戦に敗れた悔しさは、いまでも忘れられない。
 しかし、後輩たちはついに1部復帰を果たしてくれた。「(みんなが)誇らしい」と若者たちのエナジーを称えた。

「私もまだ、役者として夢を追っかけている途中です。グラウンドで夢を追っている部員の皆さんと同じ。全力で追い続ければ、夢は必ず叶います。その思いを、メッセージとして届けに来ました」

 節目の日に部員たちは、多くの人が自分たちに目を向けていることをあらためて感じた。
 9月11日の東海大との開幕戦まで約1か月。鮮やかなグリーンの芝の上で、全力で力を蓄える。

狙うは大学選手権出場と初優勝。(撮影/松本かおり)

PICK UP