国内 2013.10.05

「FWが助けてくれた」。ワイルドナイツ、バーンズの初戦完勝で飾る。

「FWが助けてくれた」。ワイルドナイツ、バーンズの初戦完勝で飾る。

■ジャパンラグビートップリーグ 2013-2014 第5節
■2013年10月5日/熊谷ラグビー場
パナソニック 39-5 コカ・コーラウエスト

 

勝利を喜ぶベリック・バーンズ(中央)。向かって左はJP・ピーターセン。(撮影/松本かおり)

 

 

 ロッカールームを出る前に「こう言ったんだ」と笑った。
「これまで、キミをとめることに気を取られてきたけど、今日はどんどんボールを渡せばいいんだから嬉しいよ」
 パナソニックに加入したベリック・バーンズ(元豪州代表)が、10月5日に熊谷ラグビー場で行われたトップリーグ第5節、コカ・コーラウエスト戦でデビューした。試合前、バーンズが話しかけた相手は、こちらも今季から加わったJP・ピーターセン(元南ア代表)。ふたりがCTBを組んだパナソニックが39-5と快勝した。

 

 ワラタス(スーパーラグビー)での最後の試合を終え、ワラビーズとしてブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズと戦ってから約3か月。地元のローカルクラブ、レノックスヘッド・トロージャンズで軽いトレーニングを重ねてはきたものの、久しぶりの実戦だった。今回の試合前、ワイルドナイツで練習したのは3回だったバーンズ。そんな条件に、「最後は足が疲れたし(後半17分で交代)、タッチキックのミスもあれば、スローフォワードも。きょうはFWに助けられたよ」と日本でのデビュー戦をふり返った。

 

 その通りの内容だった。
 立ち上がり、コカ・コーラウエストもよく攻めた。目指すアタッキング・ラグビーを積極的に実行し、走る、回す。しかし、真紅のジャージーは攻め込んでは何度もボールを失った。雨の影響で自らボールを落とす。コンタクト時にボールコントロールを失ったり、ブレイクダウンで奪い取られたり。敗戦のFL豊田将万主将は試合後に言った。
「戦えたシチュエーションはいくつもありました。防御ラインの裏に出たこともたくさんあった。だけど、相手のリアクションの速さ、うまさでいいボールが出せなかった…」

 

 パナソニックは序盤こそ自陣深くでボールを奪い返し、ピンチを防いだが、ターンオーバーする地域は、時間の経過とともにどんどんコーラ陣に入っていった。
「(前戦の)クボタとの試合では、防御ラインとして前に出られなかったけど、全体で前へ出ることに取り組んできて、きょうはそれを体現してくれたと思う」
 デイフェンスで勝った試合と、中嶋則文監督は強調した。ディフェンスから切り返し、チャンスを得る。そこで集中する。ワイルドナイツは、トライを着実に重ねていった。

 

 前半18分、敵陣深くで得たPKでスクラムを選択。コントロールした後、NO8ホラニ龍コリニアシが飛び込む。
 26分にはキックチェイスで攻め込み、またも敵陣ゴール前でPKを得て、スクラム選択。ここもホラニが防御を突破した。
 34分にはキックカウンターからCTBピーターセンが決め、前半を15-0とした。
 後半、ワイルドナイツの前進力はさらに高まる。9分、交代出場したばかりのHO堀江翔太のペネトレートから、みたびホラニがインゴールへ。この後も2トライを追加し、1トライを返されただけで完勝した。

 

 試合後の会見で堀江主将は、「前半タイトな戦いの中で我慢、頑張ってくれて、取れるところで(トライを)とってくれた。それが後半につながったと思う」と言った。
「前半は静かな試合だったんで、もっとコミュニケーションをとっていこうと言いました。バーンズも(3度の練習での出場で)大変だったはずだけど、自分から僕らに合わせようとしてくれているのか凄く嬉しい。いいやつ(笑)」
 監督もキャプテンも、「これからどんどんよくなるはず」と、ナイスガイへの確信を口にした。この男が10番を背負ったとき、チームの充実度が加速しそうな予感がある。

 

 

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