早明戦のリベンジ果たす。明大、FWで攻め切って早大に逆転勝ち。大学選手権準決勝へ。
得意な地域で、得意な形に持ち込めた回数はそう多くなかった。
ハイライトは後半23分過ぎからの約6分間。PKを得た明大はスクラムにこだわり、攻め切る。逆転して勝負を決めた。
12月26日、秩父宮ラグビー場での第1試合。大学選手権準々決勝の明大×早大は20-15で紫紺のジャージーが勝利した。
前半をリードしたのは早大だった。前半2分に明大に先制トライを許すも、2トライ(1G)+1PG。15-8と7点差をつけてハーフタイムを迎えた。
前半20分のトライはLO桑田陽介の好ディフェンスからターンオーバー。全員が反応よく攻撃に転じ、SO伊藤大祐が左中間に入った。
後半37分には左ラインアウトから攻めて大きくボールを動かす。
9フェーズを重ね、最後はアウトサイドでボールを受けたPR小林賢太がインゴールに入った。
後半、明大は風上に立ってリズムをつかんだ。
前半は敵陣深い地域で得たスクラム機を反則で逃すなど、FWのパワーをスコアに結びつけられるシーンがなかった。
その流れを変えた。
きっかけは早大の反則だった。
4分、赤黒のジャージーがノットロールアウェイ。紫紺のジャージーはPKを深く蹴り込んだ。
明大はラインアウトからモールを組み、トライラインに迫るもインゴールヘルドアップとなる。
しかし、ゴールラインドロップアウト後のボールを手にして攻め、最後はPR大賀宗志がゴール内にボールをねじ込んだ(13-15)。
逆転トライ(後半30分)を呼ぶスクラムも、きっかけは早大の反則だった。
20分過ぎ、ハーフウェイライン付近のスクラムで早大はコラプシング。直後の明大のPKから逆転劇は始まった。
スクラムを4度組み直した後の攻防で、この試合2つめのトライをPR大賀が決めた。
179センチ、112キロの3年生は、「(得意な状況を迎えるまで)時間はかかったが、あのエリアに入ればトライを取り切れると思っていた」と胸を張った。
前半は、積み重ねたプレーでトライを奪った早大だったが、後半はミスで加点できずに逆転負けを喫した。
大田尾竜彦監督は、「トライを取るべきところで取り切れたチームが勝った」と短い言葉で試合を総括した。
戦況に直結するミスが少なくなかった。
2点リードしていた後半53分過ぎ。SO伊藤がラインブレイクして大きくゲイン。パスをつないだ後の仕留めのプレーでノックオンが出た。
ゴールポスト周辺へのトライでゴールも決まっただろう。
9点リードしていたら、その後の両チームのプレー選択、メンタルも違った。
逆転された後には、ピッチ中央から蹴ったPKにミスが出た。
深い位置でラインアウトにしたかったボールは、直接タッチインゴールを割る。相手ボールスクラムとなって好機を迎えることはできなかった。
特に後者はチャレンジした結果とはいえ、紙一重のプレーで勝機をたぐり寄せないと、頂点まで僅かというところまで進んだ決戦では勝てない。
早大は勝負の厳しさをあらためて知った。
試合後、終始笑顔だったPR大賀は「練習試合も含め、今年4回目の早明戦でした。ここまですべて負けてきました。全敗で終わることだけは、4年生に対してできなかった。リベンジできてよかった」と胸の内を吐露した。
SH飯沼蓮主将も「この試合のテーマはトラストでした。仲間を、これまでやってきたことを信じよう。主人公は自分たち。そう思ってプレーしました」と語り、笑顔を見せた。
準決勝へ向け、チームの結束はあらためて固くなってきた。