五郎丸歩、松島幸太朗とも対談。山田章仁、オンラインに活路見出す。

　ラグビー日本代表としてワールドカップ2015イングランド大会などで活躍した山田章仁（NTTコム）はいま、インターネット上で活動の幅を広げている。

　新型コロナウイルスの感染拡大が始まるよりも前からYouTubeチャンネルを駆動し、最近は松島幸太朗（サントリー／クレルモン）、五郎丸歩（ヤマハ）といった日本代表でともにプレーした仲間を招いてのオンライントークイベントを開く。五郎丸との対談の際は多くの質問者と回線をつなぎ、ファンが選手に直接、聞きたいことを聞くチャンスを作る。

　2021年秋以降に発足予定の国内新リーグへ話題が及べば、普段は前向きな言葉を重ねる山田は「（プロ化は）少し大変なんじゃないかと思っています。日本に、スポーツ文化が根付いてないんじゃないかと」。それに対して同級生の五郎丸は、「（スポーツ文化が）根付いていないからこそチャレンジするのも大事」と返答。一見、正反対に映る意見が交錯しても、前提に相互理解の心があるから場は乱れない。

　視聴者から海外でプレーした経験について問われれば、フランス、オーストラリア、ニュージーランドでの滞在歴がある山田はこのように発した。

「割と私、海外が好きで勉強させてもらうんですけど、その時は『これをやっていいのかな』と躊躇しがちな時もより自分をさらけ出して、恥をかいてもいいやという感じで行った方がいいのかなと思いました。もちろんマナーとかモラルは守るけど、向こうでは『外国人（現地の人にとっての異国の人）』でいようと」

　一流企業の就業経験者を招いてのオンライン就活セミナーも、定期的に実施。競技経験をもとにアドバイスを施しながら、ゲストの話を軽やかに引き出す。現役アスリートにあって珍しい動きを重ねる。

　かねて言っていた。

「世界的に素晴らしいコーチやプレーヤーと一緒にやれた。皆のいいところを見ながら勉強させてもらった。それを活かせるような人間になりたいですね」

　学生時代に単身でオーストラリア留学に出かけたり、トップリーグのシーズン中にアメリカンフットボールのXリーグの試合に出たりしながら、本職でも前所属先のパナソニックで元オーストラリア代表監督のロビー・ディーンズ氏と、日本代表ではエディー・ジョーンズ氏と勝利を目指してきた。濃密な経験を通して蓄積してきた財産を他者と共有しながら、さらなる成長のきっかけを探っているのだろうか。