ワールドカップ 2019.10.14

W杯8強入りの偉業遂げた日本代表 ジョセフHC「信念は持てば持つほど強くなる」

[ 編集部 ]
W杯8強入りの偉業遂げた日本代表 ジョセフHC「信念は持てば持つほど強くなる」
スコットランド戦勝利後、選手たちと抱き合う日本代表のジェイミー・ジョセフHC(Photo: Getty Images)


「試合を振り返る前に、台風で家族を失った方々に心からお悔やみを申し上げたい」

 ラグビーワールドカップで日本代表を初めてベスト8に導いたジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは、10月13日、スコットランド代表に28-21で勝った歴史的一戦のあと、そう言った。

「試合の前に、台風で甚大な被害があったと聞いた。今朝、選手たちに言ったのは『今夜プレーできない人たちの分もプレーしよう』と。今日の試合はタフな時間帯にそのことを思った。多くの方のおかげで今日の試合が開催された」

 4年前の前回大会では、エディー・ジョーンズ率いる日本代表が南アフリカ代表から大金星を奪うなど歴史的3勝を遂げた。2016年9月から指揮を執るジョセフ ヘッドコーチ。今回のワールドカップはホームでの開催、日本大会ということでプレッシャーもあったに違いない。

「実に万全な準備ができた。これまでも毎回しっかり仕上げてきたが、今日は格別だった。勝ちたいという気持ちがスコットランドを上回ったのだと思う。ベテランも若手も150パーセントの力を出し切った。それこそが勝ちにつながり、こうした景色をつくり出す」

 スコットランド戦についてはこう振り返る。
「スコットランドは最初から真っ向勝負でフィジカルに向かってきて、拮抗する場面が非常にあった。私たちの最後まであきらめないところ、正念場でやりきることができた。ホームのワールドカップを感じながら戦うことができた」
 相手に先制を許したが、日本は攻守とも果敢にハードワークを続け、4トライを奪い返し逆転勝ち。
「アタックという言葉はしばしばボールを持っているときのことと考えると思うが、守備もやはり攻撃の一つだと思ってる、トライがどこから生まれたか、ディフェンスラインから生まれたこともあった。できるだけボールをキープし、試合のスピードをコントロールし、テリトリーを取ること、裏をかくこと、プレッシャーを与える、トラブルを与えること……。お互いに信頼していることを褒めるべき。最後の2、3分まで、絶対負けたくない気持ちで乗り切れたのは皆さんのヘルプのおかげ」

 今日は“たまたま”か? という問いに対しては、「違う」と即答。いろいろな人たちが懸命に努力し、コーチ陣の働きも大きかったと指揮官は話す。
「チームをつくるときに一夜にして築けるものではない。ほんとにタフな試合をくぐり抜けてきた。一番難しかったのは自分たちが持っている時間枠の中でどうチームをつくるか。それを知ったときにどの方向に進めるかわかった。コーチを疑うことはない、特にトニー・ブラウン コーチはご存じのように素晴らしいコーチ。チームとしても褒めあうチームになっている。選手に責任を与えてある程度、責任を持ってやれるように促した。痛みのある年もあった。ブラウン、長谷川慎スクラムコーチも素晴らしい。いろんなコーチがいる。セットピースの長谷川コーチも日の目を見ることはないけど、最初はティア2とやって、その時スクラム、ラインアウト、モールディフェンスをターゲットに、相手にプレッシャーを与えることをやってきた。ラグビーが構築されて日の目を見るようになった。セットプレーで拮抗することができるようになった」

 “One Team”を唱える日本代表は結束しており、選手同士のリスペクトについて指揮官はこう語った。
「(外国籍の)選手たちはいつも日本人選手をリスペクトしてきたが、日本人選手はタフな場面で自分自身に対する信頼がなかった。だが、これまでの4試合を通じて多くの信念を持つようになってきたし、(国籍の違いによる意思疎通の)壁を乗り越えるには何が必要かを理解してきている。信念は持てば持つほど強くなる」

 準々決勝進出。次は、10月20日に東京スタジアムで南アフリカ代表と対戦する。

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