4年間の準備サイクル、W杯プール戦通過順位の妙… ウェールズ代表チームに聞いた。
今年のシックスネーションズをグランドスラム(全勝優勝)で終え、その後、世界ランキング1位の座にも上り詰めたウェールズ。一時は、ワールドカップ優勝候補の声もありながらも、大会前のウォームアップゲームの戦績は、イングランドとアイルランドを相手に2試合ずつおこない、1勝3敗と奮わない。そんな中でも、もちろんチームは士気を上げ、決戦の地、日本へと向かった。ロンドン・ヒースロー空港から東京・羽田空港へ向かう機中で、ウェールズ代表メディア担当のルーク・ブラッドリー氏に聞いた。
―――ウォームアップゲームの戦績を心配するファンは多いが、本番へ向けた自信は?
「確かに、ウォームアップゲームの結果は良くありませんでしたが、過去18か月間の戦績を見てみれば、チームがいい状態にあるのは、明らかです。代表チームというものは、ワールドカップを軸とした4年サイクルで動いており、このサイクル内での過去1年半の好成績は、チームがいい状態にあることを示しています。特に、この期間で選手層を厚くすることに成功しており、我々は自信を持ってワールドカップに挑みます。
なにより、今年のシックスネーションズは全勝優勝、昨年は2位という好成績。昨年夏のアルゼンチン遠征では、前年にブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ遠征に参加した主力を休ませたチームで2戦2勝の戦績を挙げるなど、好材料は多いです」
―――何かと手厳しいことで知られる英国のメディアからは、過去18か月の戦績ではなく、この後の数週間の戦績が全てだ、という声が聞かれるが?
「もちろん、一番大事なのは過去ではなく、これからの戦績です。それは、ウォームアップゲームの戦績よりも、本番での戦績の方が大事なのと同じです。本番での結果を、楽しみにしていてください」
―――ウェールズは、プールDで最大のライバルと目されるオーストラリア戦の成績により、準々決勝で当たるプールC(イングランド、フランス、アルゼンチンが同居し“死の組”と呼ばれる)からの対戦相手が変わってくるが。
「他のグループの結果により、自分たちのグループを1位で通過するよりも2位で通過する方が有利に思えるような状況も出てくるかも知れません。もちろん、こうしたシナリオは、コーチ陣、そして選手たちの頭の中にも浮かぶでしょう。我々も皆人間ですから、これは当然です。ですが、どんな状況になろうとも、意図的に負けようと考える者は誰もいません。これは間違いありません。
確かに、ファンやジャーナリストはこういうことを考え、そして話すこともあるでしょう。ですが現場では、とにかく目の前の試合に勝つこと以外は何も考えません。他のグループの勝敗は自分たちの力ではコントロールできないこと。我々は、自分たちの力でコントロールできることに全力を尽くすのみです」
人口わずか310万人の英国の一地方、ウェールズだが、ラグビーは国技と呼べるほどの人気スポーツで、地元サポーターの期待も非常に大きい。そんな期待を背負いながら、赤いジャージを纏った代表チームは、目の前の相手を倒すことのみに全力を尽くしていく。