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2019.07.31
「府中12内」という言葉を知っていますか。
ラグビーワールドカップ2015 激闘の軌跡・南ア戦
あのときの出来事は、夜起きていた人も、翌朝起きた人も幸せにしてくれました。
2015年9月19日、日本34−32南ア は日本のラグビーファンにとって、永遠の記憶。
「府中12内(ふちゅう・じゅうに・うち)」という言葉を知っていますか。
2015年ワールドカップ、初戦の南アフリカ戦で、日本が後半に見せたBKムーブのコールです。
68分。スコアは22−29のビハインド。
過去、何度、この時間に突き放されて大差の敗北を味わってきたでしょう。強豪国とそれ以外を分ける境界線の時間帯、「あそこまでは、対等にやれたのに」と何度悔しい思いをしてきたことでしょう。
まさに勝負所のラインアウトで、BK陣は「府中12」というサインを選択。その細部に、4年間チームをビルドアップしてきたエディージャパンの真髄が表れました。
実は「府中12」には、「内」と「外」、ふた通りのバリエーションがあったのです。
現地取材のスポーツライター生島淳さんによれば、そのとき「ジャパンはエディーの手を離れていた」。
そして、4年間の軌跡を追ったNHKBSプレミアム「アナザーストーリーズ」で日本代表取材を行ったTVディレクター・中村裕さん曰く、この時間帯のレフリングにまで、日本代表の「準備」は行きとどいていた。
このシチュエーションでこのムーブを選択する。そうした意思統一の確かさはエディーならではの緻密さ。選手の自主性、主体性を煽ることはあっても、決して、選手に主導権を託すことはない。
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