国内 2018.09.16

山沢拓也、ワールドクラスの活躍で秩父宮沸かす。トヨタは日野に勝利。

山沢拓也、ワールドクラスの活躍で秩父宮沸かす。トヨタは日野に勝利。
自ら走り、周囲も走らせたパナソニックSO山沢拓也。(撮影/松本かおり)

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一度失いかけたリズムを再び取り戻したトヨタ自動車。写真はSH茂野海人。
(撮影/松本かおり)
 最上級の褒め言葉だった。
 パナソニックのロビー・ディーンズ監督は試合を終えて言った。
「今週末、秩父宮ラグビー場ではふたりのワールドクラスのSOがプレーしました。ひとりは(神戸製鋼の)ダン・カーター。そして、もうひとりはヤマサワです」
 9月15日、秩父宮ラグビー場ではトップリーグの2試合がおこなわれ、第2試合のパナソニック×東芝は31-24で前者が勝った。
 青いジャージーを勝利に導いたのは指揮官が愛でた背番号10、山沢拓也だ。自在に動き、自ら2トライ。4つのコンバージョンも決めて、ひとりで18得点を挙げた。本人も「こういうプレーを続けられたら自信がつく」と話した。
 先制したのは東芝だった。
 前半19分、ラインアウト後のモールを押し込んだ。赤いジャージーは前半にもう1トライを奪った。FWがゴール前で体を張り続け、ミスマッチができたところでFBコンラッド・バンワイクがインゴールへ(前半26分)。武骨な戦いで挑み続けた。
 好敵手の勢いを受けながらも、巧みに切り返すのがパナソニックの強さ。そのタクトを振ったのが山沢だった。
 先制トライを許した後の前半23分、WTB福岡堅樹が作った好機に自ら走り、防御裏に出てパントを転がす。WTB山田章仁を走らせ、その後、こぼれたボールを自分で押さえた。
 前半34分には、自陣ゴール前のブレイクダウンでターンオーバーしたボールを受けるとロングゲイン。最後は左に走りながら右にキックを蹴り、WTB山田のトライを呼んだ。前半を17-14で終えた。
 圧巻は24-14のスコアで迎えた後半14分だった。
 相手キックを自陣で受けると前進。相手防御裏に上げたショートパントを自らキャッチ。もう一度蹴り、ゴール前で拾いながらインゴールに飛び込んだ。
 終盤に2トライを返されるも、勝負を決定づけるビッグプレーだった。
 世界を知るディーンズ監督は言った。
「山沢は才能があり、他の選手ができないプレーもできるし、状況判断もどんどんよくなってきている。(日本代表への選出など)国際レベルでのプレーはセレクターの人たちの判断になるが、彼はいま、チームのためのプレーができてきている。そこを(セレクターも)見ているはず。いまはワイルドナイツのことを考えてプレーしているが、その結果はきっとついてくる」
 トップリーグで日本人の10番を育てる必要性も口にした。
 第1試合ではトヨタ自動車が日野を36-14で破った。勝者は試合の入りを制して勝機を掴んだ。
 前半6分、12分とFL姫野和樹主将がトライを奪うなどペースをつかみ、前半を21-9とリードした。後半に入り反則などでリズムを乱し、トライを返されるシーンもあったが、最後はもう一度突き放して地力を証明した。
 試合後、ジェイク・ホワイト監督は反則の多さやレフリングへの対応など、適応力やメンタルの部分に注文をつけた。
 姫野主将も「自分自身、その部分でもっと成長したい」とし、この試合についてもポジティブにとらえ、経験値として財産にしていきたいと話した。

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