セブンズ 2018.09.04

笑顔あり。涙あり。帰国のサクラセブンズ、アジア大会金メダルの感激を報告。

笑顔あり。涙あり。帰国のサクラセブンズ、アジア大会金メダルの感激を報告。
全員が国を背負って戦う意味を理解してピッチに立った。(撮影/松本かおり)

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待望の金メダル獲得に笑顔の中村知春主将。(撮影/松本かおり)

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応援してくれた人たちへの感謝を涙で示した長田いろは。(撮影/松本かおり)

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祖母・梢さん(左)、母・香さん(右)とバティヴァカロロ ライチェル海遥。
(撮影/松本かおり)
 誰もが目を吊り上げてタックルしまくった。
 クライマックスで中国を相手にそんな14分を過ごし(決勝は7-5の僅差で勝利)、金メダルを手にした女子たちだけど、ピッチを離れたら誰もが表情豊かだ。
 9月3日、アジア競技大会で金メダルを獲得した女子セブンズ日本代表(以下、サクラセブンズ)がインドネシアから成田空港に帰国し、記者会見を開いた。
 岩渕健輔総監督、稲田仁ヘッドコーチ、中村知春主将に続き、一人ひとりが戦いを振り返り、話した10数分。
 涙あり。笑いあり。
 それぞれの言葉から、このチームが充実した時間を過ごしてきたことが伝わってきた。
「私がチームと関わったのは2010年でした。その頃は、中国やカザフスタンに勝てるようになるのはいつだろう、という状態でした。当時、まだ10歳ぐらいだった人、まだラグビーをやっていなかった人がいるチームが今回、女子としては初めての金メダルを獲得しました。決勝戦では100回ぐらいタックルしたのではないでしょうか。選手たちの、絶対に金メダルを取るぞ、という気持ちが伝わってくる決勝でした」
 岩渕総監督は、そう話した。
 稲田HCも言った。
「粘り強く戦ってつかんだ金メダル。試合内容にはまだまだ課題はありますが、ひたむきさや体を張り続けることなど、自分たちが大事にしてきたものを出せたし、こういう試合をしなければ、とあらためて感じました。国歌斉唱から金メダル獲得という、いままでほとんどなかった経験をした。世界の舞台でもメダルを取って、こういう感覚をまた味わいたいな、と思いました」
 選手たちも、それぞれの思いを吐露した。
 中村主将は、「目標としていた初めてのアジア大会優勝、金メダルを取れて仲間を誇りに思います」と言った。
「(他の競技の)日本選手団の活躍もあり背中を押されました。みんな、国家を背負って戦う意味を理解して戦いに臨んだと思います。表彰台の上からの景色も見られてよかった」
 そう感激を伝えながらも気持ちを切り替え、2年後(の東京五輪)に向かいたいと気を引き締めた。
 ベテラン、そして中堅らしく、落ち着いた言葉で喜びを伝えた谷口令子とバティヴァカロロ ライチェル海遥。大黒田裕芽は「普段は緊張しないのに、今大会の決勝では国歌を聞いたあとに緊張してしまい試合ではミスをしてしまった。優勝できてホッとしています」と話した。
 大竹風美子は「優勝した瞬間の気持ちは忘れることのないものだと思います。これから先つらいことがあったら、あの瞬間を思い出します」と感激を口にし、セブンズ代表初選出だった黒木理帆は初々しさを言葉に込めた。
 小笹知美は国を背負って戦うことの重みを口にした。
 最初は笑顔だったが、途中で涙を見せたのは長田いろはと田中笑伊だ。
 長田は大会を楽しみ、決勝を迎えるときには、「これで終わりと思うと寂しかった」そうだ。
 涙があふれ出たのは、応援してくれた人たちのことを話そうとしたときだ。決勝の途中からのことを覚えていない長田は、試合後に映像を見て感激した。
「毎日応援してくださった人たちが、すごく喜んでいてくれた。それを見たら嬉しくて…」
 田中も「楽しかった」と何度も言った。
「ずっとワクワクしていた」と話したのは立山由香里だ。
 決勝で唯一のトライを奪った平野優芽は、「先輩たちが目指して取れなかった金メダルを手にできて嬉しい。でも、これで満足はしない」と先を見た。
 桑井亜乃は「4年前(の韓国・仁川大会)は銀メダルで悔しい思いをしましたが、このメンバーと金メダルを取れて嬉しい」と笑顔を見せた。
「日本代表として、たくさんの人たちに応援してもらえたことが力になった」
 中村主将は会見後、あらためて「スキルでなく気持ちで中国に勝った、と思います」と言った。
「脆さが課題だったチームが、日の丸を背負う意味を理解して戦った。ワールドシリーズやワールドカップで経験したことを活かせました。やっぱり、掲げた目標を達成し、笑って大会を終えられるっていいですね。達成感があります」
 準備でも試合でもやるべきことをやり切って、最後は気持ちで勝つ。
 チームは大きな成功体験を得た。
 成長の速度を高めるきっかけにしたい。

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