国内
2018.01.07
帝京大が1点差の激闘制し9連覇! 勇敢な挑戦者・明治大に逆転勝ち
大学日本一を決めるにふさわしい好勝負、激闘となった。
第54回全国大学ラグビー選手権大会の決勝が1月7日、東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれ、帝京大が13点ビハインドから逆転して明治大を21−20で下し、前人未到の9連覇(9年連続9回目の優勝)を達成した。
「両チームの学生が力を出し切ってくれて素晴らしい試合になった。最後は個々の成長とチームのまとまりを信じて見つめていた」(帝京大・岩出雅之監督)
後半途中まで主導権を握っていたのは、19年ぶりの決勝進出で、21年ぶりの王座奪還に燃えた名門・明治だった。キックオフからボールキープで果敢に攻め続けた。
前半4分、明治はCTB梶村祐介が相手CTBニコラス・マクカランに突き刺さり、ブレイクダウンで反則を誘いPGチャンスを得る。しかし、SO堀米航平のショットは失敗。帝京に流れが傾くかと思われた。
が、明治の副将である梶村が再び光る。7分、自陣10メートルラインでインターセプトして独走し、先制。2万489人が観戦したスタジアムで、明治ファンが沸いた。
リスタートのキックオフ、ジャンプしてハイボールを取りに行った明治のWTB山村知也に対し、同じく競っていた帝京のWTB木村朋也が体当たりする形になって危険なプレーと見なされ、イエローカード。帝京に悪い流れが続いた。
しかしディフェンディングチャンピオンは11分過ぎ、CTBニコラス・マクカランが突破してゴールに迫り、密集から出たボールを手にしたキャプテンのHO堀越康介がインゴールに突っ込み、同点。WTB竹山晃暉のコンバージョン成功で逆転した。
だが、数的有利の明治は15分、敵陣10メートルライン左のモールから右へループをはさんでバックス展開し、WTB高橋汰地が3人のタックラーを振り切ってゴールに飛び込み、ゲームをひっくり返した。
紫紺のジャージーはさらに26分、塊を作ってレッグドライブで敵陣深くに入り、FWのピック&ゴーでさらに前へ。そして、SH福田健太が間隙を突いてインゴールに突っ込み、点差を広げた。
帝京はハーフタイム前に攻め込んだが得点ならず、7−17で前半を終えた。
後半早々には明治がSO堀米のPGで加点し、13点差となる。
しかし、自陣で守る時間が長く、ボール支配率でも劣勢だった帝京だが、55分(後半15分)、相手に反則があって敵陣深くに入ると、FWが前進してゴールに迫り、立ってボールをもらったLO秋山大地がインゴールに飛び込み、トライ。キック成功で14−20となった。
そして59分だった。明治が敵陣深くに入ったが、帝京はブレイクダウンでNO8吉田杏が絡んで相手の反則を引き出す。すると、帝京はそこから速攻を仕掛け、バックスが大きくゲインして一気に敵陣へ。勢いに乗ったままたたみかけ、副将のFB尾崎晟也がブレイクスルー、ゴール前で足を止められたがサポートしたCTB岡田優輝がゴールに持ち込み、竹山がコンバージョンキックをきっちり決めて逆転した。
「きつい時間帯もあったが、そういうときこそ丁寧に行こうと話し合って戦った。後半は明治の足が止まったように感じた」(帝京大・堀越キャプテン)
試合終了間際、ゴールに迫った帝京にオブストラクションの反則があり、最後のアタックチャンスがめぐってきた明治。プレー再開後、帝京の堀越キャプテンが故意の反則でイエローカードとなり、激闘はクライマックスに達する。一転、ピンチとなった帝京。しかし、残った14人が懸命に体を張り、最後はFLブロディ・マクカランが絡んで明治反則の笛が鳴り、まもなく、ノーサイドとなった。
敗れた明治大の丹羽政彦監督は、「勝ち切ってきたチームと、19年ぶりにここに来たチームの差が出たかもしれません。新しい文化を作りたかったが、1点だけ足りなかった」とコメント。主導権を握った前半は「我慢できた」と評価したが、後半については「堅く行こうということはなかったが、ゴール前で取りきれなかった。もう少し、バックスでボールを動かしていい時間帯があった」と悔やんだ。
古川満キャプテンは、「セットプレー、ディフェンス、ブレイクダウンの3つに焦点を絞ってやろうと話していたが、80分できなかった。後半途中から、ボールキャリアーと2人目の質が落ちてしまった。しかし、最高のファンの前で戦えて、明治に来てよかったとあらためて思った」と戦いを振り返った。
そして、偉業を達成した帝京大の堀越キャプテンは、「1年間、この日をターゲットに積み重ねてきた結果が日本一になった。メンバー、メンバー外、支えてきてくれた人たちを笑顔にできて良かった。各局面を楽しめた」と話し、喜びをかみしめていた。