女子
2016.05.28
サクラフィフティーン、香港に連勝でアジア女王に。W杯への思い、熱く。
先制トライを挙げたPR南早紀のもとに集まり、笑顔のサクラフィフティーン
(撮影:松本かおり)
アイルランドの空は近づいたか。
サクラフィフティーン(女子日本代表)が女子香港代表を30−3とやっつけてアジアのチャンピオンになった。5月28日の秩父宮ラグビー場。前半は10−3と競る展開も、後半は4トライを挙げて30−3と突き放した。39−3だった5月7日のアウェー戦に続く完勝で、女子アジアラグビーチャンピオンシップ2016の女王に。今年12月頃の開催を予定されている女子ワールドカップ(2017年アイルランド大会)のアジア予選突破に向けて歩を進めた。アジアには2枠が与えられる予定になっている。
有水剛志ヘッドコーチが「6割、7割の力しか出せていないが、それでもこのスコアで勝てたのは地力がついた証拠」と話した試合は、緊張感からか、やや動きの鈍いスタートになった。
相手反則から速攻を仕掛けてアタックを重ね、PR南早紀がトライを奪って先制したのが前半6分過ぎ。しかし、追加点は前半終盤(33分)まで待たねばならなかった。香港代表のジョー・ハル ヘッドコーチが「前半はいいプレッシャーをかけられた」と言ったように相手の健闘もあったが、日本代表のFB田坂藍主将は「受けてしまった」と反省した。そして、「ああいう時間帯に自分たちのペースをどう取り戻すかが課題」と言葉を続けた。
しかし、後半は日本らしさを出した。テンポのはやさと豊富な運動量。それらを前面に押し出すと桜のジャージーが躍動する。
後半16分に奪ったトライはラインアウトからだった。ラインアウトからFWがモールを押し込んだ後に展開。FB田坂が縦に走り込んでゲインしたラックを制し、そこから出たボールをCTB中山潮音がインゴールに持ち込んだ。フィニッシュしたこの試合の最年少プレーヤーが、「みんながつないだトライ」と振り返った一連の流れでチームは勢いづいた。前半はNO8アメリ・スールらのパワープレーに接点で苦しむこともあったが、時間が経つにつれ香港代表の運動量は減少。ラスト20分はホームチームがいきいきとした。
25分にFL末結希、30分にWTB黒木理帆、35分にLO日向寺亜依。3トライを重ねてゲームを締め括ったサクラフィフティーンのパフォーマンスを受けて、有水ヘッドコーチは「持てる力を出し切らないと、ワールドカップは予選でも本大会でも勝てない」とし、そこを詰めていきたいと話した。田坂主将は「毎日、ワールドカップで勝つことを頭の中でイメージして過ごしたい」。サクラセブンズ(女子セブンズ日本代表)のような注目度はないけれど、ココロザシの高さは同じと感じさせる表情だった。
女子日本代表の大野均ことFL乾あゆみは38歳。最年少のCTB中山は17歳。魅力的な個性が並ぶこちらのサクラにも注目だ。