進歩を支える新習慣。スピアーズ・根塚洸雅は「足の裏」で耐える。優勝への鍵は?
地面を踏みしめられるようになった。
そう実感するのは根塚洸雅。クボタスピアーズ船橋・東京ベイのプロラグビー選手で、2022年にあった国内リーグワン元年の新人賞を得た28歳だ。
身長173センチ、体重82キロと一線級にあっては大柄ではないが、鋭いスペースへの駆け込みで攻めを勢いづける。最近では、コンタクト時の粘り腰も際立つ。
普段の習慣のたまものだ。
千葉県内のクラブハウスで使う室内履きは、スパイクのインソールを製作する会社の作ったリカバリーサンダルだ。柔らかい素材で、足底の全てを使って体重を支える。足の指や体幹に適度な刺激を入れる。
個人のトレーニングでも、指先の感覚を養う。配管を扱う責任企業からチームに参加しているスタッフに、製品だった柔らかい素材のパイプを短く切ってもらった。その「筒」の上に乗り、バランスを取る。
24年に怪我した時のリハビリで指を動かしたのが、「自分的に、しっくりきた」。地元の関西地区にある整骨院の先生も、古武術に通じていた。いましている「筒」を用いたトレーニングは、その人物に着想を得た。
大地を踏みしめる感覚を、重量級へのタックル、端側でのフットワークに活かす。今年6月までのシーズンで主戦級として準優勝したのを踏まえ、朗らかに振り返る。
「(チーム戦術上)ラインアウトからのファーストフェイズで、タックルに入ることに。やはり、最初に突っ込んでくる選手は(勢いをつける目的があるため)重たいんです。そういう時も、足の裏で耐えられている感じがしました。地面からすぐ足が離れないところが、僕にはしっくりきました。タッチライン際から(フィールドの)内側へ入る動き、足さばきでの踏む力も、いい感じになってきています」
オフからの新生活でも、好循環を生み出す。
結婚したばかりの妻と住み始めたのは、屋上にドッグランがあるペット可の物件だ。犬を飼い始めたことで、早寝早起きになった。
「オフの日も外に出て運動する時間が増えた。5、6時台に起こされて散歩に行くことも、僕にとってはいいことです。ワンちゃんも最初のほうは人間の赤ちゃんと一緒で寝られないらしく、落ち着くまでは寝不足も続きました。でも、せっかく早起きをするのでそのまま(休息日も)グラウンドに行ってちょっと練習して帰る…というムーブができました」
愛犬は「ブリちゃん」と呼ぶ。まだ迎え入れる前に自身の結婚式を開き、ビンゴ大会に絡めてクイズを出題。「もしペットを飼うならどんな名前がいい?」という三択問題で「いくら」「ぶり」「はまち」の正解を「ぶり」に定めた。設問を考えていた頃にちょうど回転ずし店に出かけ、「魚の名前がかわいいやん」と直感したためだ。
「…で、飼った時にはブリちゃんという流れができたんです。ノリでやったら、ほんまにその名前になって」
さらに…。
その愛称を持つ有名歌手を引き合いに出す。
「後付けですが、(命名を)スピアーズに絡められたらなぁとも思っていたら、『ブリ』やったら『ブリトニー・スピアーズ』とも被っていて」
日常を適宜、改め、よりよくありたい。実質6年目となる26年度のスタートを12月に控え、夏から全体練習で鍛える。
さかのぼって6月7日、東京・国立競技場でコベルコ神戸スティーラーズとのプレーオフ決勝へ先発した。
13-22で日本一を逃したその日の立ち上がりに、向こうの防御を食らってタッチラインの外に出されることがあった。鍛えてきたはずの端側での「足さばき」を大舞台で発揮しきれない悔しさは、いまなお残る。
「決勝で『入り』の大事さを改めて学びました。『入り』で自分たちのいいラグビーで、うまいことトライを獲るという流れ作りです」
他には反則を抑えて敵陣でプレーし続けるべく、レフリーとコミュニケーションを取ることも肝だとわかったという。
「…どうやって自分たちのやりたいようにできるかが大切で、それをやりきれたほうが勝つ。プレシーズンから形を作り、強みを出すことを見つめ直す。そうすれば、もう1回、チャンピオンに戻れるかなと」
‘22年度以来となる優勝を果たし、その後は代表復帰も叶えたい。‘27年にあるワールドカップオーストラリア大会で、同僚で仲のよい木田晴斗と両翼を組めたら最高だ。




