【アジア大会を追う⑥】「これじゃ全然ダメ」。3位の男子セブンズ代表、成長誓う

アジア大会のセブンズ競技が10月1日から3日におこなわれ、男子セブンズ日本代表は3位に終わった。
不本意な結果だ。目指したのは3大会ぶりの優勝。近年しのぎを削る香港に決勝で勝つ…。そんなシナリオだったが、その舞台にも立てなかった。
準決勝で中国と対戦し、7-10で敗れた。3点を追いかけた後半も、攻撃機会は十分にあったがミスを重ねた。
パリオリンピック後に代表に選出されてから約2年、「ずっとこの大会をイメージしてきた」という白國亮大は、「ミスが続く中でなんとかしようという気持ちが出過ぎてしまった」と肩を落とす。
時間が過ぎていく中でもジャパンがスクラムを選択し続けたのは、そこからのアタックに自信を持っていたからだ。
しかし相手も警戒していたから、スクラムでプレッシャーをかけられる。一度は反則となるも、試合終了間際には落球を引き出された。
白國は試合後、涙を流した。「見て来てくれた人もいるし、一緒にやってきた仲間、ここまで支えてくれた家族に向けて、最後まで必ずやり切って銅メダルで終わりたい」と語っていた。
失意の敗戦から約5時間が経ち、韓国との3位決定戦に臨む。17-5で快勝した。
それでも、白國は泣いていた。負傷で欠場しながら応援に駆けつけた津岡翔太郎に触れて言う。
「これじゃ全然ダメ。(スタンドから)津岡さんは『良かったよ』と言ってくれました。でも、絶対に悔しいと思うし、本当にこのままではダメだと思いました。まったく満足していません」
そして、こう決意した。
「オリンピックに出られるかどうかのレベルではなく、香港、中国に必ず勝てるチームを自分から作っていきたいと強く思いました」
白國は志和池豊馬とグラウンド中央で泥臭いタックルを重ね、抜かれた後のバッキングアップでも光った。
ともに167センチと小柄なだけに、「誰よりも走るのは自分の仕事。それがこの体型でも選んでもらっている理由だと思う」と使命を語る。
二人は帝京大からの同級生だ。卒業後も大阪府警の同僚で、志和池は「亮大がいなかったらぼくはたぶんどこかで腐っていた」と感謝する。
「もちろん仲間だけど、僕は勝手にライバルとして見ています。絶対に負けたくないと思うけど、声もかけてくれる。大事な存在です」
切磋琢磨は続く。

このチームには、志和池や白國と同様にさらなる成長を誓った若手もいる。
社会人2年目を過ごす荻田直弥だ。
学習院大3年時にセブンズ・デベロップメント・スコッドに選ばれ、翌年のアジアシリーズ2024タイ大会で代表デビューを飾った。
「セブンズはほとんどやったことがありませんでしたが、中学でラグビーを始める前から『オリンピック』の響きには憧れていました」
元セブンズ代表監督で学習院大のテクニカルアドバイザーを務める村田亙氏にその思いを伝えれば、代表関係者に関東大学対抗戦Bの試合を見に来てもらえた。
当時は足が特段速いわけでも、パスやステップが得意だったわけでもなかったというが、「代表合宿には一人ひとりを成長させてくれる環境があります。継続的に呼んでもらえて、スキルやフィジカルは上がりました」と成長を実感する。
その証拠に、これまでは187センチの長躯を生かしてFWを担っていたが、スピードが向上したことからアジア大会よりBKで起用されている。
「スピードはこれからも磨きをかけたいです。さらにフィジカルを生かせれば、良いプレイヤーになれるかなと」
戦うカテゴリーが対抗戦Bから一気に代表レベルまで上がる中、「心の支え」になったのが先輩の存在だ。
「11歳上のOBに江見さん(翔太/現東京サンゴリアス)がいて、学生時代にセブンズ代表になった前例がありました。無理なことはない、と」
入社して半年も経たないうちに、所属チームであるNECグリーンロケッツ東葛の活動終了が発表されたが、「あんまり考えすぎないようにしていた」という。「良い意味で、なるようになるだろうと。自分がやることは変わらない」と達観していた。
チームは無事にJR東日本へ譲渡され、荻田も今年7月から同社に転籍した。
代表合宿のない日は出社前の午前中にチームのトレーニングに参加。リーグワンでの出場を見据えながら、ロサンゼルスオリンピックを目指す。
「オリンピックの直前で良い選手がセブンズに挑戦することもあると思うので、最後まで競争は続くはず。努力し続けることは変わらずやっていきます」
目下の目標は、アジアシリーズ第2戦スリランカ大会での優勝。第1戦は香港に7-19で敗れて2位だったが、総合優勝が叶えば「HSBC SVNS3」に参入できる。
2年後のオリンピックに向けても重要な一戦は、10月17、18日におこなわれる。





