各国代表 2026.09.30

女子フランス代表、WXVでカナダを撃破。悲願のW杯制覇に向け着実に強化進む

[ 福本美由紀 ]
女子フランス代表、WXVでカナダを撃破。悲願のW杯制覇に向け着実に強化進む
ラ・ロシェルでカナダを破った女子フランス代表。喜びを爆発させる選手たちをスタンドの大観衆がスタンディングオベーションで迎える(Photo/Getty Images)

 女子15人制の新大会「WXV Global Series 2026」の開幕3連戦。フランス代表は、前回のW杯準優勝国・カナダを21-5で破り、見事な勝利でこれを締めくくった。

 今シーズンを迎えるにあたり、フランソワ・ラティエHCは休暇明けの8月1日に、オンラインミーティングを通じてチームのロードマップを選手にイメージさせた。

 2026-2027シーズンに予定されているのは全11試合。そのうち8週間で繰り広げられるWXVの6試合について、ラティエHCは「全試合がW杯準決勝レベル」と位置づける。対戦相手は、過去6度の世界王者を誇るNZ(4試合)、W杯で2度の準優勝を誇り、現在世界3位のカナダ、そして自国開催のW杯を見据え強化を進めるオーストラリア(世界9位)だ。

 フランス国内(リヨン、エクス=アン=プロヴァンス、ラ・ロシェル)で3か国を順次迎え撃ち、その後は敵地NZへ渡りブラックファーンズとの3連戦に挑む。

 指揮官は選手たちの闘志に火をつけるべく、直近の現実を突きつけた。

「オーストラリアとの直近の対戦成績は? 敗戦。NZは? 敗戦。カナダは? 敗戦」

 こうして、反撃への舞台が整えられた。

 さらに、8月20日から23日にはフロントファイブの選手だけを集めた合宿を実施。主力やシックスネーションズに参加した若手に加え、U20・U18世代の有望株を含む24名が参加した。将来を見据えて先手を打つと同時に、若手をトップレベルへ引き上げる狙いもあった。

「スクラムやラインアウトは、多くのの時間と練習、そして細かい調整を要する分野です」とラティエHCは語る。

「始めるのが早ければ早いほど良い。この合宿により、スローイングの技術やリフトの精度、スクラムの専門的なトレーニングと細部までじっくり掘り下げることができました。また、フロントファイブというのは、チーム内でも特別な家族のような結束がある存在です。このポジションでプレーする選手たちを結びつける『絆』のようなものを育みたいという意図もありました」

 主将のLOマナエ・フェレウは医学部5年生の試験と重なっているため、またパワフルな突進でチームを牽引してきたLOマドゥッス・ファル=ラクロは妊娠中のため、それぞれ今大会を欠場している。

「2人の不在が戦略に影響を与えているのは間違いありません」と、アタックおよびセットピース担当コーチのフロラン・ヴィゾレクは語る。

「しかし、それに対応し適応していくのが私たちの役割です。推進力のあるボールキャリアーを欠き、ラインアウトの高さもやや低くなりますが、同時に他の選手にとっては存在感とリーダーシップを示し、ポジションをつかみ取る絶好の機会でもあります」

 ラティエHCは、2か月にわたって共同生活をすることになるこの大会を、ピッチの内外でチームの「集団的経験値」を高め、新戦力の台頭により「層の厚さ」を増す絶好の機会と捉えている。

「W杯まで辿り着くためには、フランス代表でプレーできるレベルの選手を50名ほど揃えておく必要があるからです」と指揮官は語る。

 初戦のNZ戦では、普段はスケジュールの都合で召集が難しい7人制代表の選手を積極的に起用した。

「15人制と7人制は似て非なる競技ですが、彼女たちには国際舞台の最高峰で培った経験と圧倒的なスピードがあります。大観衆の前でプレーし慣れているため、メンタル面での存在感も大きい」とラティエHCは7人制選手のメリットを挙げる。

 しかし、NZ戦を終え、彼女たちは再び7人制代表へと戻った。

「重要なのは、機会があるごとに彼女たちを15人制へ馴染ませておくことです。すべてはW杯を見据えた長期戦略の一環。年に一度でもトップレベルの7人制選手を迎え入れられれば、大きな価値があります。今回、彼女たちは15日間で確かな適応能力を示してくれました。

もちろん、双方の事情への配慮も欠かせません。今シーズンの7人制代表にとって、オリンピック出場権の獲得は非常に過酷な道のりです。ヨーロッパ予選は実質『欧州王者』にならなければ枠を勝ち取れないほど狭き門です。それでも、彼女たちのようなレベルの選手を組み込めるのは大きなプラス。チームにも即座に馴染み、期待通りのレベルを示してくれたので、NZ戦で起用することにしました」

 新キャプテンには、代表76キャップを誇り副主将も務めてきたSHポリーヌ・ブルドン=サンシュスが任命された。

 NZは、ブラックファーンズXVとの公式戦を含めればこれが4試合連続の試合となる。4月に開催されたパシフィックフォーシリーズの3試合もアメリカに48-15、カナダに36-14、オーストラリア40-5と圧勝を重ねてきた。一方、シーズン初戦となったフランスは試合勘の欠如が否めず、14-28で敗北。特にフェレウとファル=ラクロを欠くラインアウトの脆さを露呈する形となった。

 試合後、ラティエHCは「カナダはスコットランドから60点を奪い、イングランドもオーストラリアに大勝しました」とライバルたちの戦果を引き出し、こう語った。

「我々はNZだけでなく、こうしたトップ集団からまだ少し遅れをとっています。しかし、決して届かない距離ではありません。この2か月間での6連戦を通じて、その差を少しずつ埋めていく必要があります。その成果は次のシックスネーションズの時にわかります。ホームで敗れるのを好む者などいませんが、進むべき道があります。険しい道のりですが、そこを進まなければなりません。なぜなら、この道こそが、3年後に私たちを世界王者の座へと導いてくれるからです」

 続くオーストラリア戦は波乱の展開となった。18分から23分のわずか5分間で3枚のイエローカード(うち2枚はバンカー)、さらに1枚のレッドカードが出され、フランスは一時11人対15人という絶望的な数的不利に陥った。

 それでも一時0-19までリードを広げられたものの、前半終了間際に2トライを返して7点差まで猛追。そして試合最終盤、土壇場で底力を発揮し29-26と見事な逆転勝利をつかみ取った。

 試合後、CTBガブリエル・ヴェルニエは「まさにノンストップでした。一つの状況に適応したと思えば、すぐ次の状況に対応せねばならず、極めてタフな戦いでした。チーム全員でしっかり猛省と見直しをおこなう必要があります」と振り返った。

 一方、翌週の対戦相手カナダは、絶対女王イングランドと26-26の引き分け連勝記録を39でストップさせるという快挙を成し遂げ、フランスへと乗り込んできた。

 だが、フランスはその強敵に対して終始主導権を握り、21-5で完勝を収める。

「ピッチ上で表現したかったことが、すべて形になりました」とラティエHCは満足げに微笑んだ。「もちろん改善の余地は残ります。しかし、自分たちにこれほどの闘志があることはわかっていました。大切なのはそれをラグビーの中で発揮できるかどうかです。選手たちを誇りに思いますし、本当にうれしいです」。

 この勝利の背景には、カナダが本来のパフォーマンスを発揮できていなかった側面もある。「とはいえ、私たちが相手にダメージを与えたのも事実です」とラティエHCは選手たちの功績を称える。

「カナダの選手たちが次々と倒れたのは単なる疲労からではありません。私たちは前週のオーストラリア戦で心身ともに多大なエネルギーを削られましたが、スピードとパワーを兼ね備えた強敵に対し、フィジカルで正面から打ち勝ってみせた。それこそが勝敗を分けたのです」

 この3戦で、フランスは9人の新戦力を代表デビューさせた。なかでも2キャップ目となるカナダ戦で初先発を果たしたFLムナ・トゥレは、ラインアウトの空中戦からブレイクダウンの地上戦まで幾度もボールを奪取。初出場で14番を背負ったマリー・イバネスも、ボールを持つたびに相手ディフェンスを翻弄した。スタンドには、元フランス代表主将で現男子15人制代表GMの父ラファエル・イバネスが見守る姿もあった。

 また、先のシックスネーションズでは選外となり全試合スタンド観戦で終えていたFBエミリー・ブラールがオーストラリア戦で復帰を果たし、続くカナダ戦では2トライをマーク。「完璧に再始動を果たした」と指揮官も喜んだ。

 全ポジションでの競争が激化し、選手層の拡充を印象づけた開幕3連戦となった。

 カナダ戦の前半も敵陣22メートル内への進入7回に対してトライは1回にとどまるなど、ゴール前での決定力不足やブレイクダウンの規律、細かなハンドリング精度といった課題は残る。それでも、今回の進化が一時的なものではなく、持続的な成長過程にあると信じるに足る手応えが感じられた。

 若手のさらなる起用が予想される次なる敵地NZ遠征の3連戦では、さらに選手層が広がっていくことになるだろう。

追記: 本原稿の執筆直後(現地時間9月29日夜)、NZ遠征メンバーが発表された。開幕3連戦で主将を務めたブルドン=サンシュスは、家庭の事情によりコーチ陣との合意のもとフランス国内に残ることとなった。必要に応じて合流できる態勢をとる。代わりにトゥールーズの18歳、リル・ペデュソが初召集されている。

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