各国代表 2026.05.08

【女子シックスネーションズ】焦点は試合の立ち上がり。女子フランス代表が第4節スコットランド戦のメンバーを発表

[ 福本美由紀 ]
【女子シックスネーションズ】焦点は試合の立ち上がり。女子フランス代表が第4節スコットランド戦のメンバーを発表
アイルランド戦では前半の劣勢をよくしのぎ、後半に流れを引き寄せた女子フランス代表。スコットランドに勝利し、最後に控えるイングランドとの決戦に弾みをつけられるか(Photo/Getty Images)

 4月25日に行われた女子シックス・ネーションズ第3節において、フランスはアイルランドを26-7で下した。開幕からの連勝を3に伸ばし、ボーナスポイントを獲得したことで、首位イングランドと勝ち点で並ぶ状況を堅持している。しかし、この最終スコアは試合の凄まじさを物語ってはいない。

 試合はキックオフ直後から激しい肉弾戦。開始わずか3分、FBポリーヌ・バラがインテンショナル・ノックフォワードにより10分間の退場処分を受けた。数的不利に陥ったフランスは、前半のテリトリーで27%、ポゼッションで38%と圧倒的な劣勢を強いられた。さらに、ブレイクダウンを中心に前半だけで9つのペナルティを献上する規律の乱れも露呈した。このような状況下で前半を7-7の同点で折り返せたのは、ちょっとした奇跡だ。

 統計データは、フランスがいかに防戦一方であったかを物語っている。前半のタックル数はアイルランドの66回に対し、フランスは119回を記録した。アイルランドは11分のモールからのトライ以外にも、計4回にわたりフランスのインゴールへ侵入したが、自らのミスやフランスの執念のトライセービングで得点できずにいた。まさに死闘だった。

 後半に入ると、フランスは高い守備精度を維持しながらも、攻撃の時間を徐々に増やしていった。最終的なタックル成功率は92%という高い水準に達し、奪った好機を確実に得点に結びつけて3トライを追加した。

 試合後、フランソワ・ラティエHCはピッチ上の円陣で「こういう試合こそが我々を成長させてくれる。よくやった。ブラボー」と選手たちを鼓舞した。

 ここまでの3戦に共通している課題は、前半の試合の入りに苦戦している点である。スコットランド戦を2日後に控えたラティエHCは、現状を次のように分析している。

「開始早々に相手にボールを渡してしまい、そこから立て直すために堅守に頼らざるを得ない状況だ。ミスの中身こそ異なるが、試合の入りをより改善しなければならない。今週は特に最初の20分間に重点を置いて取り組んできた。ボールを保持し続け、自分たちの目指すラグビーを即座に実行する必要がある。試合開始直後の『硬さ』を振り払わなければならない」

 この課題を解決すべく、今週の試合に向けて3箇所のメンバー変更が行われた。まずは、FLの入れ替えである。アクセル・ベルトゥミューに代わり、今大会の3試合すべてで後半から出場し、エネルギッシュなプレーを見せてきたシャルロット・エスクデロが先発に起用された。ラティエHCはこの起用の意図について、以下のように述べている。

「シャルロットはアイルランド戦で素晴らしい仕事をし、試合の流れを変えてくれた。彼女を後半から投入するだけの選手として固定したくはなかった。もちろん先発に値するプレーを見せているが、他の選手と同様に、試合開始前の特有の感情をいかにコントロールし、立ち上がりからどのようなパフォーマンスを見せてくれるのかを確認したい」

 もう一つの重要な変更は、20歳のLOシヴォーン・ソンゲタの初先発である。ソンゲタは今大会で初キャップを得たばかりだが、過去3試合の後半出場では非常にパワフルかつアグレッシブなパフォーマンスを見せてきた。彼女は、2008年から2022年まで日本(サントリー、三洋電機、キヤノン、ホンダ、釜石)でプレーしていた元フィジー代表のトマシ・ソンゲタの姪にあたり、ラグビー選手だった父のノアがフランスでプレーすることになり、4歳の時に家族でNZからフランスへ渡った。

 ソンゲタを先発させることで終盤のパワー不足を懸念する声に対し、ラティエHCは次のように反論した。

「パワーの『源泉』が別の場所に分散されるだけです。例えば、FLにベルトゥミュー、CTBにテアニ・フェレウを配置することで、違った形でパワーを供給できる。我々としては、前半から試合を支配する展開に持ち込まなければならない。試合開始直後から相手を揺さぶり、圧倒できる布陣を整える必要があると考えているのです」

 この発言からも、今回の布陣が試合の立ち上がりに重点を置いたものであることが示唆されている。

 さらにフロントローでは、アイルランド戦で強力なボールキャリーでチームを前進させ、自らトライも挙げてプレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)に選ばれた左PRアンブル・エムワイエンベに代わり、イタリア戦で先発したイラナ・ブロッソがスターティングメンバーに戻った。

 PRの層に苦しむ男子代表とは対照的に、女子代表は左右ともに層が厚い。初戦のイタリア戦でも右PRアッシア・カラファウイがPOMに選ばれており、安定したセットピースのみならず、豊富な運動量とハンドリングスキルを兼ね備えたPR陣を揃えている。こうした層の厚さがローテーションを可能にしている。

 今大会が開幕して以来、フランスは負傷欠場を除き、ほぼ固定されたメンバーで戦い続けている。これについてラティエHCは、就任から日の浅いチームの現状を踏まえ、次のように説明した。

「この大会は、我々の就任からわずか2か月というタイミングで始まりました。我々にとって、シックスネーションズは『実験の場』ではなく、あくまで『結果を求める場』です。そのため、一貫性を重視し、常にその時点で最高のチームをピッチに送り出すことを目指しています」

 一方で、指揮官は将来を見据えた動きについても言及している。先週末には、フランス南部のタルブで行われたU21のスコットランド戦(シックスネーションズ・ウィメンズU21シリーズ)を視察。113-0という大差で勝利した若い世代のポテンシャルを高く評価しており、「秋のシーズンには彼女たちをより多く目にすることになるでしょう」と語った。秋にはWXVグローバルシリーズの6試合が予定されており、過酷な連戦を戦い抜くためには、現在の32名を超える選手層が必要になると予見している。

 現在、32名のスコッドに名を連ねながらも、23名の試合登録メンバーから漏れている選手が10名ほど存在する。その現状について、ラティエHCは厳しい競争原理と選手への信頼を強調した。

「我々は『スパーリングパートナー』を呼んでいるわけではない。フランス代表として戦う選手を招集しているのです。ただ、今はチームを激変させたり、手当たり次第に試したりする時期ではありません。そのため、一部の選手が役割を固定されているのは確かです。しかし、その先には明確な展望があり、選手たちもそれを理解しています。我々は今、一つの『サイクル』を構築している最中なのです」

 さらに指揮官は、9月のホーム3連戦(ニュージーランド、オーストラリア、カナダ戦)と10月のニュージーランド遠征を見据え、控えに回っている選手たちへも期待を寄せた。

「これらは長く過酷な戦いになります。パフォーマンスを維持していれば、当然全員に出番があります。現在、彼女たちは『グループのために』という意識を持って役割を全うしてくれています。今回のバイウィーク明けに同じ32名を維持したのも、彼女たちがチームに莫大なエネルギーをもたらしてくれているからです。『メンバー外』から『試合登録メンバー』へは、一瞬で入れ替わります。彼女たちは100%の熱量で取り組んでいます。これが彼女たちにとって酷な状況かと言われれば、もちろんそうです。しかし、それが『フランス代表』という場所なのです」

 次に対戦するスコットランドは、ウェールズには24−19で勝利したものの、イタリアに14-41、イングランドに7-84で敗れ、ここまで1勝2敗という成績である。

「もし私がスコットランドのコーチであれば、『ホームでフランスを倒すこと』を、今大会を救うための最大の目標に掲げるでしょう。土曜日の試合では、彼女たちが非常に強い決意を持って挑んでくることを覚悟しています。そのため、我々は相手のこと以上に、自分たちのプレーにフォーカスして準備を進めてきました。スコットランドが決して諦めないチームであることを踏まえた上で、いかに試合の入りを改善するかが重要になります」

 また、スコットランドの戦術的な特徴についても警戒を示している。

「非常によくボールを動かすテクニカルなチームです。ディフェンスの目の前でアタックを仕掛ける能力があり、外側にはスピードのある選手がそろい、セットプレーも安定しています。対する我々は、ボールを保持し続け、相手を散らばらせ、時には中央に寄せることで、彼女たちのディフェンスに生じるギャップを見つけ出せるかどうかが勝負になります」

日本時間 5月10日(日)午前0時15分キックオフ
フランス代表 スコットランド戦メンバー


PICK UP