国内 2026.03.18

大一番で盟友と激突。ワイルドナイツのダミアン・デアレンデ、帰国報道にも言及。

[ 向 風見也 ]
大一番で盟友と激突。ワイルドナイツのダミアン・デアレンデ、帰国報道にも言及。
ダミアン・デアレンデ[埼玉WK/CTB](撮影:長尾亜紀)

 特別な日に最高の仕事ができたからだろう。ダミアン・デアレンデは、埼玉パナソニックワイルドナイツの同僚を誇った。

「チームの働きはよかったです。きょうはここ数週間にあっては限りなくベストに近いパフォーマンスを発揮しなければならず、それを目指して頑張れました」

 3月14日、東京・秩父宮ラグビー場で国内リーグワン1部の第11節に臨んだ。2つ上に当たる首位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイとの1敗の大一番を、32-30で制した。

 後半24分に18-27とされながら、終盤に巻き返してラストワンプレーで勝ち越した。

「後半は、プレッシャーのかかる場面もすごく多かったです。ただ最後の10分間、チャンスの場面で点を獲り切れた。非常に嬉しく思います。終盤は、ボールを取り返すことを非常に意識しました。というのも後半の最初 から約25分程度は、スピアーズが球を保持する時間が長く続いていましたから」

 防御で圧をかけ、向こうの蹴った球を確実に保護し、その流れで大きなラインブレイクや連係技を繰り出したのがクライマックスにおけるワイルドナイツだった。

 なかでもデアレンデは、29分のチャンスで大仕事をする。

 敵陣ゴール前右で左方向からパスをもらうと、外側の味方へパスを繋ごうとしながらも状況を踏まえて路線変更。せり上がる相手防御の裏側へキックを転がした。

 予定していた手ではなく足で、端側にいたLOのオッキー・バーナードにフィニッシュさせた。直後のゴール成功もあり、スコアを25-27に詰めた。

「展開するなか、最初はパスの選択肢を考えました。ただ、目の前のディフェンスがこちらへ上がってきて、かつ裏のスペースが見えた。そこにボールを転がしたのです」

 身長190センチ、体重105キロの34歳。ワールドカップ2連覇中の南アフリカ代表として、何と97キャップ(テストマッチ=代表戦出場数)を誇る。

 2022年より加入のワイルドナイツでも、持ち場のインサイドCTBとして存在感を示す。球を持てば相手のタックルの芯を外しながら、しなやかに前進。強靭な体躯でありながら柔らかい動きができる。

 とりわけこの午後は、技巧の質を保ちながら衝突に熱を込めた。壁にぶつかり、そのまま足をかいて前に出ること多数。守っては接点の球にしぶとく絡み、向こうのリズムを鈍らせるシーンも目立った。

 臨んだのは、レギュラーシーズン最大級のビッグマッチだ。いつも全力ではあるものの、この午後は一段と気持ちがこもっていたと認める。

 約2週間前、コベルコ神戸スティーラーズに全勝を止められていた。この悔しい敗戦を踏まえ、こう述べる。

「クボタさんが相手。フィジカルに戦わなければならなかった。その部分で十分に戦えたことが、今日の結果に繋がったと思います。数週間前、神戸さんとはフィジカルに戦えなかった。それを経て今回は、選手たちがフィジカルの部分で頑張ってくれた」

 この国には南アフリカ代表勢がずらり。この日のスピアーズでも然り。HOの位置にいたマルコム・マークスは、87キャップを持つ昨年の世界最優秀選手だ。

 今回、デアレンデが力強い突進をした先でマークスにスティールされるシーンがあった。海外ラグビーの愛好家であれば誰もが唸るシーン。デアレンデはマークスとのマッチアップについて聞かれ、即答した。

「マークスは非常に良い友人です。お互いマッチアップの時は本気。もしかしたら本気以上に戦えています。インターナショナルマッチではチームメイトですが、ピッチの上では敵として一生懸命に全力でぶつかります。ただ、それはお互いに怪我をさせようとことではない。根底にはリスペクトがある。だからこそ、このような見応えのあるマッチアップをお届けできたのだと思います」

 双方、力を認め合っている。「本気」でクラッシュし、「本気」でボールを奪い合うのは必然だ。リーグワンではこのように、各クラブに在籍する盟友と真剣勝負ができる。

 海外報道で、いずれ母国にある古巣のストーマーズでプレーしたいとの意向が報じられた。その件について聞かれれば、まだワイルドナイツでの契約期間が残っていると強調。今年6月までのシーズンが終わってからも、来季へ向けて埼玉にカムバックするつもりだ。

「まずは今季を一生懸命やり、来年いい状態になって(一時帰国から)戻ってきたいです。確かに、以前インタビューで『キャリア終わるとしたらストーマーズで』という話はしましたが、いまは埼玉パナソニックワイルドナイツの一員としてプレーしています。契約期間内、全力を尽くします」

 2027年のワールドカップオーストラリア大会にも、ワイルドナイツでのシーズン終了後に参加する。真意はさておき、「その(大会)後もいるかもしれませんよ」と微笑んでもいた。

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