好きなポジションで輝く。東海大・杉浦皓亮が掴んだ「自信」。
スクラムで優勝を手繰り寄せた。
11月30日、東京・秩父宮ラグビー場。関東大学リーグ戦1部の最終節に出た1人は東海大4年の杉浦皓亮だ。全勝して2年ぶり14度目の優勝を決めたい一戦で、定位置の右PRに入って猛プッシュを重ねた。
うまくいったわけは「セットアップ」。予備動作だ。
「セットアップで自立してちゃんと組めたのがよかったです」
対する流経大は戦前8チーム中4位。結果次第で大学選手権に出る3枠へ滑り込めるなか、立ち上がりから鋭い出足と大胆なアタックを披露していた。東海大は一時10点ビハインドを背負うなど苦しんだが、杉浦は落ち着いていた。
後半31分に退いて46-31で快勝した後、こう振り返った。
「ペナルティーをしないで守り続ければ自分たちの流れが来ると話していました。何回か(反則が)続いたところは(これから)修正したい。(総じて)相手が何をするかではなく、自分たちが何をするかを考えました」
身長177センチ、体重110キロ。名古屋中でラグビーをはじめてからは球を回すCTBでプレーしたが、NO8を経て名古屋高2年時よりいまの位置に入る。
人によってはこの競技で一番苦しい仕事場と呼ばれる背番号3の位置を、「きついけど、絶対に試合で必要になる」と捉える。
「スクラムで輝ける、好きなポジションです」
東海大在学中に「自信」をつけた。20歳以下(U20)、23歳以下(U23)と、高校時代に無縁だった年代別代表へ選ばれたからだ。
自然と国内リーグワンでプレーしたくなり、しばらくしたら上位クラブにスカウトされた。卒業後は旧トップリーグ時代から優勝を争っている名門へ加わる。
改めて、世代を代表してプレーした経験について語る。
「僕は高校ではあまり活躍して目立つ人ではなかった。(選ばれた先で)とにかくひたむきに頑張ろうとしていました。そこで選ばれた経験は、自信になっています。特にスクラムでは対面に負けない意識があります」
卒業後も競技を続けようと思ったのも、かくして掴んだ「自信」のおかげだ。
各部門の選考合宿を勝ち抜くさなかの意識も、将来に活用できそうだ。
「チームに何を求められているのかを考え、そこにフィットしていく。それは自分の強みです」
ちなみにU23は日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチが率いていて、顔を合わせれば「東海」とあだ名をつけられた。
チームから唯一の選出だったことと、ジョーンズが初めて日本で仕事をしたのが東海大のヘッドコーチだったことが関係していたかもしれない。
そのジョーンズの「名物」に触れた。
トレーニングに身が入っていないと見るや、その場で切り上げ、選手が改めて奮起するのを待つというアプローチである。
オーストラリア遠征中にこれを体験した杉浦は、その「判断」の凄みを感じた。
「あのままなぁなぁでやっていたら自分たちのレベルが下がってしまう。ああいう判断がコーチとしてできるということは、やはり、すごいのかなと感じます。結局、その後、選手は切り替えて再開するという形に。(ジョーンズは)生活ではフレンドリーに。練習ではポイントごとに厳しく伝えていただくことが多く、それも『できていない!』ではなく、どこがだめなのかを指摘してくれる」
いまはリーグ戦1位通過で臨む選手権で、初の日本一を見据える。20日、大阪・ヤンマースタジアム長居で京産大とぶつかる。




