長く続けていたら、ええことあるな。小林亮太[三重ホンダヒート/FL]
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前半は13-10とリードしていた。
4月26日の第16節、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦だ。
最終スコアは20-39とされるも、レギュラーシーズンで2位につける強豪を相手に、三重ホンダヒートは粘りの防御で奮闘する。
先頭に立ったのは、背番号7の小林亮太。刺さるタックルで相手の前進を阻み、ピンチでのスティールでボールを攫った。
「みんなが頑張ったおかげで、おいしいところが回ってきただけですよ」
自分の手柄にはしない。この日はゲームキャプテンも務めていた。
「前半からフィジカルに、とみんなにメッセージを伝えていたので、まずは自分がやらないと。そこは悪くはなかったと思います」
ただ、パフォーマンスが良かった、とは言わない。「負けたんでね…」と続けた。
それでも、ノンメンバーには感謝を伝えた。ヒートでは試合メンバーを「ホンダメンバー」、ノンメンバーを「ヒートメンバー」と呼ぶ。
「僕の経験上、バイウィーク明けは苦戦することが多いです。でも、今週はヒートメンバーがしっかり僕たちにプレッシャーをかけてくれたので、すんなり試合に入れました。(FWの強力なスピアーズ相手でも)フィジカルでのプレッシャーは感じなかったです」
近大から2014年に入団。生え抜きとしては最古参で、2代前のキャプテンだ。
6月で34歳になる年長者の一人だが、グラウンドでのパフォーマンスは衰えを知らない。むしろ、高まり続けているようにも映る。
ラグビーマガジン1月号の付録「リーグワン写真名鑑」に記載された、チームスタッフ評にも「ピークと言われ続けて早数年。今年もピークを更新」とあった。
キャリアを重ねて普段の取り組みに変化を加えることはあるのかと問えば、食い気味に「一切ない」。
「必死にやるだけ。それが僕なんで」と破顔した。
「プレースタイルは一生懸命、です。年を重ねてからカッコつけたい時期もあったんですけど、やっぱり上手くいかないなと。飾らんと、愚直にやってきました。そうしたら今、ええところでボールが転がってくるんですよ。ラグビーの神様は見てるな、ラグビー長く続けていたら、ええこともあるな、って」
チームは7連敗中。3月、4月と勝ち点を得られていない。
試合後の会見で小林が毎度、課題に挙げるのは「実行力」だ。
「時間で切り分けたら、戦えている時間の方が多いのに、どこかの10分、20分で失点を重ねてしまう。クボタや東芝、パナは綻びが出ません。僕たちが上に上がっていくためにはそれが必要です。自分たちが次のキックオフでどこに蹴り、どうプレッシャーをかけて、どう転んだところからもう一度立ち上がるのか。そのプロセスを全員で共有することが一番大事。ただ、頭では分かっていても、できないこともあります。そういうチーム(の気)が落ちている時は、気持ちも乗せていかないといけない。それがリーダーの役割です。だから(それができていなければ)僕が悪い」
現在ディビジョン1で12チーム中11位と入替戦圏内にいる。
5月4日に三重交通Gスポーツの杜鈴鹿でおこなわれる、トヨタヴェルブリッツとのホストゲームは大一番だ。
10位のヴェルブリッツとの勝ち点差はわずか2。小林も「僕たちの運命がかかった大きな試合になる」と自覚する。
「でも、あまり意識し過ぎるのは良くないです。特別なことはしない。自分たちのやるべきことをやるをもう一度明確にして臨めれば、良いゲームができる」
過去に何度も修羅場を乗り越えてきたミスターヒートは、役職には就かずともリーダーシップを発揮し続ける。