早大ルーキー城央祐が感動する「きれい」なタックル。
期待に応えたと言える。
早大ラグビー部1年のFLの城央祐は、昨季、桐蔭学園高の主将として全国制覇を成し遂げた。シーズン終了後は高校日本代表で船頭役となり、早大で一緒になる服部亮太らとU19イタリア代表に挑んだ。
年度が替わってからは、早大で春先から主力争いに絡む。
2018年度以来となる優勝を果たした秋の関東大学対抗戦Aでは、5度の先発出場を記録した。5季ぶり17度目の大学日本一を目指す大学選手権でも、主戦級として活躍する。
2025年1月2日に東京・国立競技場であった選手権準決勝では、京産大に31-19と勝つまで攻守に献身した。
26-0で迎えた後半3分には、自陣ゴール前で相手走者の持つ球に絡む。ペナルティーキックを得た。
「自分が(ボールを)狙う役割だった。少しでも自分の仕事ができた」
身長185センチ、体重99キロの期待のルーキーは、ここまで十分に爪痕を残してきたような。
本人も、大学シーンの強度に慣れてきたと認める。
ただ、それだけでは満足しない。
「まだまだ(衝突で)勝ち切るまでにはなれてない。そのレベルまでいけたらなと」
まずはこのレベルでも、向こうのランナーをなぎ倒すタックルを1試合に1本以上は決めたい。モールの攻防でも、もっと存在感を示せたらよい。
望むようにレベルアップすべく、先人の力も頼る。
佐々木隆道。前年度より早大のヘッドコーチとなった、元日本代表FLのOBである。
城は佐々木に「FLの生命線」について学ぶ。身体能力に頼らずともコンタクト合戦に勝るための、基本動作を磨き直す。
ランナーにタックルする際は、際には飛び込まずに踏み込んでぶつかる…。動きの中で強く刺さる体勢を作り、自ら肩を当てる…。
それは、一線級にあって大柄ではなかった佐々木が「生命線」としていた領域だ。
城はコーチングを受けながら、かつての佐々木がとびきりの名手だったのを実感できるという。スキルトレーニングの前に見せてもらう手本について、こう証言する。
「タックルに入るまでの足を止めない、入る瞬間のパック、パワーフット…。そういったことが、いまの現役の僕たちよりもうまい。本当に、きれいなんですよ。きれいすぎて、『おぉ…』と。現役の僕たちよりも凄いタックルができるんじゃないかなぁ…と」
激しさの伴うアクションが「きれい」。機能美の類だろう。
13日、東京・秩父宮ラグビー場でファイナルに挑む。相手は4連覇中の帝京大だ。
タフでありながらどこか美しいパフォーマンスが期待される城は、「帝京大さんには身体が大きく強いFWがいる。そこにひるまず、自分の強いプレーをできるようにしたいです」と意気込む。