【リーグワン】静岡ブルーレヴズが劇的逆転勝利。コベルコ神戸スティーラーズ破る。静岡流”ボムスコッド”作戦実る。
■NTTリーグワンD1第1節・12月21日@ヤマハスタジアム(静岡)
【静岡BR 15-13 神戸S】
リーグワンでは初めて開幕節をヤマハスタジアムで迎えた静岡ブルーレヴズ。雨の中駆けつけた8,498人のファンを喜ばせた。
サヨナラ逆転勝利で、コベルコ神戸スティーラーズとの激闘を15-13で制したのだ。
互いにプレシーズンで培った堅守を見せる中、大きく試合が動いたのは13-3とスティーラーズリードで迎えた後半23分だ。
ブルーレヴズがラインアウトのアタックを起点にWTBヴァレンス・タファーテが切れ味鋭いランで突破、そのままインゴールまで持ち込む。5点差まで迫った。
藤井雄一郎監督は先んじて交代カードを切っていた。
7分から9分にかけてFLヴェティ・トゥポウら4人のFWを投入。そして21分には、1週前に加入が発表されたばかりの秘密兵器、WTBタファーテをピッチに送った。その2分後に生まれたトライだった。
この日のブレイクダウンでの攻防は、後半途中までスティーラーズが優勢。そこで幾度もターンオーバーが起きた。
しかし、ブルーレヴズはリザーブ陣がその優劣を変える。南アフリカではお馴染みの”ボムスコッド”が防御網に風穴を開けた。FLヴェティ、LO桑野詠真らが次々と前に出た。
30分頃には「ファールプレーレビューオフィシャル」による検証の結果、シンビンで一時退場していた神戸LOジェラード・カウリートゥイオティにレッドカードが通達される。
ブルーレヴズは数的優位のまま多くの時間を敵陣で過ごせた。
スタジアムの熱気が最高潮に達したのは、後半40分を知らせるホーンが鳴った後だ。
16フェーズ重ねた連続攻撃の末に、相手のペナルティを引き出す。直後、ラインアウトモールを押し込んでゴールラインを割った。
しかし、TMOで慎重に判定された結果、直前のオブストラクションを取られてスコアならず。その前の相手のペナルティから再開に。ただ、直後のアタックの際に神戸CTBナニ・ラウマペがハイタックルでのシンビンを受け、相手は13人となった。
次の攻防でついに決着がついた。最後はFLヴェティがゴールラインを割って13-13。
ほぼ正面のコンバージョンをSOサム・グリーンが沈め、最終スコアを刻んだ。
「最後の最後に勝てばいい」と試合前に選手たちを送り出した、藤井雄一郎監督は表情を崩す。
「本当の最後の最後で勝てた。僕の血圧はマックスまでいきました」
リザーブにFW6人を並べ、後半の序盤から迷うことなくカードを切っていくプランについて、「昨シーズンは最後の最後に同点に追いつかれたり、1点差で負けたりという試合が多かった。ノーサイドまでを意識して、インパクトメンバーがインパクトを出す練習をかなりやってきた」と説明した。
後半に幾度もラックに体を入れてターンオーバーを決めるなど、この日もさすがのパフォーマンスを見せたFLクワッガ・スミス主将は、「自分が(代表期間で)いない間に他の選手たちが本当にハードワークしてきた結果が出た」と仲間を称え、すぐに気持ちを切り替える。
「今日は勝てて本当に嬉しかった。でも、こういう競争の激しい試合が今後もたくさんある。しっかり次の試合に繋げたい」
敗れたスティーラーズのデイブ・レニーHCは「試合後にマッチオフィシャルについて話したいわけではない」とした上で、「正直フラストレーションが溜まっている」と心の内を明かした。
「カードの判定についての不満ではありません。自分たちの規律が悪かったのは確かです。ただ、結果に直結する試合終了間際のシーンはどうだったか。才能のある選手がこのリーグにはたくさんいる中で、マッチオフィシャルはまだまだ成長できるところだと思います」と苦言を呈した。