「13」をつけるヘスケス 「強者」相手にも「その通りにはさせない」
球を持てば大抵、場内を騒然とさせた。
前半24分。敵陣中盤の右中間で球を持ったら弧を描くように外側へ走り、一転、中央へ突撃。タックルを順番に蹴散らし、インゴールを割った。
日本代表として5キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)を記録したCTB/WTBカーン・ヘスケスは、公式で「身長178センチ、体重98キロ」の体躯で豪快に走った。9日、所属先であるサニックスの地元、福岡のレベルファイブスタジアムで2トライを挙げた。韓国代表を66-10で制し、アジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)の優勝を決めた。
「筋量が上がって、体脂肪が落ちたんです」
試合後、以前より顔周りがすっきりしたという印象を伝えられると、笑顔でこう答えた。
4月上旬から、宮崎での代表合宿に参加。猛練習に喰らいついた日々を、エディー・ジョーンズ ヘッドコーチに「選手としての規律が良くなった」と褒められていた。本人はこうだ。
「(実際の体重は)102キロだったのが、101キロになりました。その辺は、エディーのトレーニングのタフさによって変わってきます!」
本職は大外のWTBだが、今春はそのひとつ中央側にあたるアウトサイドCTBでプレー。当該ポジションに力強い突破役を置くチーム方針からだ。いまの働き場について、ヘスケスはこう語る。
「(楽しさは)ボールを持つ機会が多いこと。トラブルが起こった場面でもボールを持って、チームに勢いを出せる。(難しさは)周りとのコミュニケーションが多いこと」
23日に香港でのARC最終戦(対香港代表)を終えると、7月からは北米遠征に臨む。参加するパシフィック・ネーションズカップでの対戦相手は、これまで以上に手応えがあるだろう。ニュージーランド生まれの弾丸は、こう先を見据えるのだった。
「潰しにいく。相手が強いからといって、その通りにさせてはいけない。自分たちが弱者で相手が強者だという考えは、いけません」