「不甲斐ない」払拭のラン。池本大喜[早大/LO]
早大のLO、池本大喜は試合後、ひとまず安堵した。
本来のプレーを取り戻せたからだ。
11月23日、慶大との「早慶戦」がおこなわれ、早大は43-19と勝利を収める。
池本は前半4分、WTB矢崎由高のオフロードパスを受けてロングゲイン。相手が迫る中でもパスダミーを選択してさらに前進、ゴール前でラストパスを放ち、SH島本陽太の先制トライに繋げた。
「ここまで何試合か不甲斐ないプレーが続いていました。今日は積極的にボールキャリーしようと」
スランプから抜け出せた。100回目となった早慶戦が、国立競技場という場所が、そうさせた。
幼少の頃から早大OBで父の信正さん連れられ、見てきた伝統の一戦だ。慶大がこの試合を1年のターゲットにしてきたことも理解していた。
それでも、緊張より楽しみが勝った。
「100回目の記念試合ですし、国立という舞台を楽しみながらプレーできたのもあって、ああいうプレーができたと思います」
池本はこの日、ボールキャリーだけでなく、ラインアウトでも貢献する。慶大にプレッシャーをかけ続け、味方のスチールを引き出すなど、慶大の強みであるモールをなかなか作らせなかった。
「分析してきたことがハマったところもありました」
昨季からラインアウトリーダーを務める。2季前までは権上太郎コーチ(現・GR東葛コーチ)、昨季からは佐藤譲司コーチから細部を学んできた。
「自分たちより大きい相手であったり、FWを強みにしているチームに対して、いかに早稲田らしく、素早さや細かい技で相手を翻弄できるかを一番意識しています」
早稲田実出身。2年時には1学年先輩の相良昌彦(現・東京SG)らと花園の地を踏んだ。内部進学した早大で、レギュラーを掴んだのは昨季からだ。
しかし本人曰く、「掴んだ」感覚はなかったという。
「鏡さん(鈴之介/副将)のケガがあり、代わりに出ていたという印象です。鏡さんのためにプレーしようという思いでやっていました」
だから4年生となった今季は、レギュラーとしての自覚が大きくなったがゆえに「空回りした」。
「自分がやれること以上のことをやろうとしていました。4年生だから(やらなくては)、という気持ちが大きかったと思います。今日はシンプルに自分のやるべきことをやろうと思って臨めました」
12月3日に同じく国立競技場でおこなわれる早明戦でも、自身のやるべきことをこなしたい。
「外でもらうことが多いのでキャリーでチームを勢いづけたいし、ラインアウトは明治が強みとしているところ。そこでプレッシャーをかけて(相手の)出鼻をくじければ、と思っています」