国内 2023.11.21

リッチー・モウンガ&シャノン・フリゼルがブレイブルーパスに与えるものは?

[ 向 風見也 ]
リッチー・モウンガ&シャノン・フリゼルがブレイブルーパスに与えるものは?
入団会見をおこなったシャノン・フリゼル(左)とリッチー・モウンガ(写真提供:東芝ブレイブルーパス東京)


 来日から約2週間。

 リッチー・モウンガはすでに焼き肉を楽しみ、「ファミリーマートの卵サンド」も買ってみた。

 シャノン・フリゼルは、同僚で日本代表のリーチ マイケルに拠点近くの定食屋「ますだや」へ案内された。

 ニュージーランド代表56キャップのモウンガと同33キャップのフリゼルは、今季から日本のリーグワンに参戦する。11月21日、新たに所属する東芝ブレイブルーパス東京の一員として都内で語った。

「自分たちで目の前にあるものを(受けて)判断して、チームとしてプレーしたい。全員がチーム内での役割を全うする。コーチたちからは、自分たちの見たものに対し、判断していいと言われています。接点で激しく行く。しっかりと自分のスキルを使い、スペースへアタックする。ラグビーではいかに基本的なこと、細かいことを忠実にやるかが大事です」

 こう語ったのはSOのモウンガ。身長176センチ、体重83キロの29歳で、今秋はフランスで、自身2度目となるワールドカップへの出場を果たした。10番をつけ準優勝した。鋭いランが長所だ。前所属のクルセイダーズでもスーパーラグビー3連覇(2017~19年)などを経験しているだけに、新天地も常勝集団にしたいという。

「ラグビー選手として、勝っていきたい。これまで勝てる環境にいられたのは光栄。何かのためにハードワークする。自分自身を含め、エネルギーを投資する。そして成功する気持ちは、かけがえのないものです。リーグワンでも個人的にも勝っていきたい」

世界最高SOのひとりと言われるリッチー・モウンガ(写真提供:東芝ブレイブルーパス東京)

 続けて登壇したフリゼルは、身長195センチ、体重114キロの29歳。FLとして突進、タックル、接点でのボールへの絡みで魅する。初出場となったワールドカップ・フランス大会でも、主力格として身体をぶつけた。

 いったいなぜ、タフなプレーをし続けられるのか。そう聞かれると、「トンガ人だからかな」。ルーツを持つトンガにパワフルな選手が多いことを挙げた。

 新天地での意気込みはこうだ。

「東芝にはベテランもいる。大学を出たての若手もいる。彼らとプレーすることにわくわくしています。大卒選手がベテランをプッシュし、ベテランから学びもするのが東芝のよさ。私は国際舞台で得た知識を若い選手に教える。これで今後の5~6年はしっかりプレーできるぞ、というものを伝えていきたい。また、私自身も若手選手から学びたいです」

 日本で楽しみな対戦は。そう聞かれたフリゼルはまず、2部のNECグリーンロケッツ東葛にいるアッシュ・ディクソンの名を挙げ「スマッシュしたい!」。ディクソンは、フリゼルの前所属先であるハイランダーズの代表的選手だった。

 さらにはブロディ・レタリック、アーディー・サヴェアといった、コベルコ神戸スティーラーズに加わったばかりのニュージーランド代表のLO、NO8についても言及したフリゼル。「他にも、トンガの高校に通っていた時に一緒にプレーをした選手もここ(日本)にいます。試合後、ビールを片手に彼らと話すのも楽しみです」と笑った。

 すると質問者が、「日本代表の主将で、ハイランダーズでも一緒にプレーした人もいると思う。改めて、対戦が楽しみな選手は…」と言い直した。

 フランス大会で日本代表の主将を務めた姫野和樹は、2021年にハイランダーズへ所属。フリゼルとFW第3列に入った。2人は仲がいいことで知られる。

 フリゼルは聞き手の意図を察し、「(楽しみな対戦は)…ヒメ!」と応じた。周りを笑わせた。

「姫野さんはいい親友のひとりです。私が東芝に入ると決めてからもやり取りをしています。彼との対戦を楽しみにしています」

NZ代表の6番としてワールドカップでも活躍したシャノン・フリゼル(写真提供:東芝ブレイブルーパス東京)

 フリゼルのモウンガ評は、「強みはリーダーシップです。皆様ご存じの通り、何でもできる。能力が高い」。逆に、モウンガのフリゼル評はこうだ。

「ダイナミック。パワフル。動きがある。ボールキャリアは残虐的と言えるくらい力強い。タフです。あとは身体が大きい。さらにランもできるし、相手を突き飛ばすこともできる。ラグビーのIQはすごく高い。あれだけ大きな身体なのに、細かなスキルも素晴らしい。…これ以上、褒めるとうぬぼれるかもしれないので、これくらいにしておきます」

 クラブはトッド・ブラックアダー ヘッドコーチ体制5季目。リーグワン元年にあたる一昨季は、前身のトップリーグ時代から通算して6シーズンぶりの4強入りを果たしている。今度の大物加入は、2009年度以来の日本一への起爆剤となるか。

 ブラックアダーによると、2人は25日にあるクボタスピアーズ船橋・東京ベイとの練習試合に出場予定だ(府中市内)。

 12月9日の開幕節出場へも、2人とも意欲的だ。

 この日、対戦する静岡ブルーレヴズには、ブリン・ホールがいる。クルセイダーズ出身のSHで、長らくモウンガの同僚だった。モウンガは言う。

「開幕戦。このチャンスにわくわくしています。当然、チームのメンバーに選ばれれば、ですが、自分のできることに集中して取り組んでいきます。もし、観戦できる方は、ぜひ、会場に来てください。試合後、多くの方とお会いできたらと思っています」

 会場は東京・味の素スタジアムである。フリゼルも「プレーすることを待ち望んでいます。選ばれていい状態であり、選ばれれば準備は万端です」と話す。

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