日本を警戒も、「私たちは強くなっている」。フィジー代表、スーパーラグビー参戦の成果に自信
立っているだけで汗が噴き出る。
8月4日(金)の東京は35度を超える猛暑に見舞われた。
同5日(土)に日本代表と戦うフィジー代表は、12時30分から秩父宮ラグビー場でキャプテンズランをおこなった。
日本代表戦に臨むフィジー代表は、23人の中に4人の東京五輪金メダリスト(7人制)を含む。
また、今年のスーパーラグビー・パシフィックでプレーオフに進出したフィジアン・ドゥルアの選手たちも10人いる。
高い潜在能力を秘める選手たちだ。
SHで先発するシミオネ・クルヴォリもフィジアン・ドゥルアで活躍し、力を伸ばしているひとりだ。
24歳。先週のサモア代表戦にも先発した。
2020年のジョージア戦で代表デビューを果たし、翌年のオールブラックス戦、昨年のアイルランド戦にも出場した。
フィジアン・ドゥルアでも2022年シーズンに活躍。2023年シーズンはケガで出場機会がなかったが、地道なリハビリとトレーニングを重ねて今回の代表スコッド入りを果たした。
本人も自身の立場を理解している。今回の日本ツアーに関して、「新しいコンビネーション、組み合わせを試すのが目的と聞いています。セレクションについてはコーチに任せるとして、プレーヤーとしては試合に集中するのみ」と話した。
フィジアン・ドゥルアがスーパーラグビーに参加して2季。選手たちは、ポジティブな影響を受けていると証言する。
「お陰で、選手たちはゲームタイムが増え、海外チームと戦う経験値が高まりました」
フィジー国内で活動している選手たちが求めてきたプレー環境が創出されている。
その成果は明らかだ。日本戦メンバー内のフィジアン・ドゥルア選手は10人も、当初発表された39名の代表スコッドには18人がいた。
クルヴォリは、自身の経験から「スーパーラグビーでプレーすることで、ゲームマネージメントに関しての知識が増え、チームを作り上げるためのチームワークを学びました」と話し、「ローカルプレーヤーにインターナショナルへと続く道が開かれた」と笑顔を見せた。
HOのサム・マタヴェシも、フィジアン・ドゥルア誕生で代表チームのレベルが上昇していると感じるひとりだ。
イングランド出身の31歳。同地出身の母と、フィジー人の父との間に生まれた。
現在は英・プレミアシップのノーサンプトン・セインツに所属している。
「フィジアン・ドゥルアの影響で、代表チームの選手たちのスキルなど、実力の平均値が上がっている」と言う。
マタヴェシの家はラグビーファミリーだ。
父・シレリさんもラグビー選手で、1985年にフィジー・バーバリアンズの一員として英国ツアーに参加。その際に現地クラブから誘われて炭鉱で働きながらプレーを続け、母と出会う。
3人の息子たちは全員、プロラグビー選手となった。
サムは次男。所属するセインツでは、4年間で54試合に出場。2022-23シーズンも12戦でプレーした。
長男のジョシュは、2022-23シーズンまで2シーズンに渡って豊田自動織機シャトルズ愛知でプレーし、三男のジョエルはセインツのチームメートでもある。
マタヴェシは日本代表について、「非常に手強い相手。トンガ、サモアと違うフィジカリティの強さを持ち、ボールを持って動かすスキルもある」と警戒する。
自分たちが進んでいる道については自信を見せた。
9月に開幕するワールドカップ(以下、W杯)で目指すターゲットを、「現実的には準々決勝進出」とした。ウエールズ、オーストラリアと同じプールCで上位2チームに入るため、全力を尽くす。
「これまで戦ってきた相手とは違う脅威を持った日本との試合のあとには、(W杯前に)フランス(8月19日)、イングランド(8月16日)と戦います。それらは、9月10日のウエールズとの対戦に向けてのいい準備になると思っています」
猛暑の中のキャプテンズランはウォークスルーでおこない、コンディションを整えたという。
2019年W杯直前にも日本と戦った2番は(その時は釜石で戦い、31-34と敗戦)、「私たちはあのときより強くなっています」と自信を見せた。