上ノ坊駿介が感じた頂上決戦。試合後にしてもらったことは?
キックオフ。自分のところへ球が飛んできた。目の前には相手が迫っていた。
コベルコ神戸スティーラーズの上ノ坊駿介は6月7日、東京・国立競技場にいた。15番をつけ、ジャパンラグビーリーグワンの決勝戦に出た。
天理大卒業前だったシーズン途中から、リーグのアーリーエントリーという制度で出場。デビュー戦ハットトリックとインパクトを残し、最終戦まで主戦を張った。
もっともこの日に臨んだのは、日本一を争う大舞台だ。対するクボタスピアーズ船橋・東京ベイは、開始早々にこのルーキーにボールを処理させ、捕球した瞬間を仕留められるよう主将でNO8のマキシ ファウルアを突っ込ませたのだ。
狙われたかもしれぬ本人は、しかし、口笛を吹く調子で後述する。何となく、ネットサーフィンの習慣があるのを匂わせる。
「凄いプレッシャーを受けましたけど、怪我をすることなく何とかうまくできました。前日の記事で『空中戦が鍵になる』と書いてあって、そこは、勝負(見せ場)だと思っていました」
ファーストプレーでマキシのビッグヒットを食らい、かつ、その後の同種のリスタートで同種のケースに持ち込まれても、淡々とフィールドで勤めを果たした。
動きのある状態ではバックスペースを突かれたり、高い弾道のボールを落としたりしたものの、前半29分にはチーム唯一のトライをお膳立てした。
敵陣22メートル線付近左でパスをもらうと、飛びついてくるタックラーの背後を突く。利き足と逆の左で蹴り込む。WTBのイノケ・ブルアのフィニッシュを呼んだ。
「いいスペースが見えたなか、ノックス(ブルア)がいい反応をしてくれました」
22-13でノーサイド。チームにとって旧トップリーグ時代の2018年度以来となる日本一に喜んだ。
「決勝だからといって固くならずにできました。(スティーラーズは)メンバー23人が脅威になれます。それと、メンバー外の選手もいい練習相手になってくれた。それが、試合に繋がりました」
スタンド下の取材エリアへは赤いチームTシャツを着て現れた。裾あたりには、何やらサインが書かれていたが…。
「櫻井翔さんです」
試合直後、別室で人気アイドルグループのメンバーだった著名なタレントにインタビューされていたようだ。
翌日にはリーグの新人賞を獲得し、10日、7月からのネーションズチャンピオンシップに向けた代表スコッドに名を連ねた。
学生時代に若手育成期間のジャパンタレントスコッド(JTS)にも招かれていたのを踏まえ、エディー・ジョーンズヘッドコーチにはこう称えられる。
「上ノ坊は昨季のJTSに参加して驚かせてくれた。神戸でもチームにフィットした。ハイボールで果敢にチャレンジ。アタックで動けて、ディフェンスでも身体を張れる」
かねて本人は、「日本代表に選ばれるのであれば、国を背負っていかなくてはいけない。重みが変わる。ワールドクラスの選手になれるようにがんばります。一貫性のあるプレー、大事になります」。自身初の代表合宿には19日に合流予定だ。



