入替戦を「楽しむ」。谷口永遠[日野レッドドルフィンズ/HO]
谷口永遠(とわ)は二つの顔を持つ。
平日の午前は日野レッドドルフィンズのフッカーで、午後は日野自動車の採用担当。ほとんどの日で面接官になる。
「ウェブ面接のときもありますが、群馬の工場まで行くこともあります。(天理)大学時代は全寮制で部員が170人ほどいました。いろんな人を見てきたので、それは面接にも生かせていると思います」
2023年に入社して以来、変わらず採用を続ける。4年目を迎える現在は、主に中途の「キャリア採用」を担う。
「13時から13時半までには出社します。そこから逆算して、練習の前のミーティングは朝の7時ぐらいから始まります」
限られた時間にミーティング、ウエート、グラウンドでのトレーニングと、すべてを詰め込む。その最後に待っているのがスクラム練習だ。
「試合中のしんどい状況に似ています。シーズンの序盤はそこでレフリングやバインドに苦しみましたが、終盤にかけてタフな場面でも良いスクラムを組めるようになりました」
その成果を遺憾なく発揮したのは5月23日。ディビジョン3で首位に立ったマツダスカイアクティブズ広島との入替戦第1戦だ。
序盤から幾度も猛プッシュ。相手のペナルティを誘い続けてイエローカードを引き出し、相手を自陣に釘付けにした。
ゴール前での決定力のなさからスコアは20ー17と競ったが、スクラムが勝因の一つだったのは確かだ。
「1本目を組んだ時点で今日はいける感覚があり、スクラムを組み続ければシンビンまで取れると、キャプテンの中鹿(駿)さんにも伝えていました。自分たちフォーカスで組めたと思います」
関大北陽、天理大出身の25歳。天理大では1年時から大学選手権の舞台に立ち、2年時には日本一を経験。ジュニア・ジャパンにも選ばれ、4年時に主力となった。
日野では入団1年目からフル稼働した。ディビジョン3にいた2023-24シーズンは10トライをマーク。2部昇格に貢献すると、昨季は8試合で80分間グラウンドに立った。
3シーズン目の今季も、昨季と同じく1試合を除く全試合に出場し、70分前後のプレータイムを得ている。
「最後まで出るのは正直キツいです。でも、それは頼られているということなので、僕は燃えます」
チームの成績は振るわなかったが、気持ちが落ちることはなかった。むしろ、入替戦に向けて「気持ちが上がりました」。
「入替戦は2試合ですけど、こういう一発勝負の試合が好きです。やっぱり一番注目されるし、目立ちたいなと(笑)。今日も緊張しなかったし、素直に楽しかったです。負けたら降格とかを考えず、自分のやるべきことをやる。そうすれば勝利に貢献できると思っています」
5月30日には広島の地で再戦する。当然、相手もスクラムは改善を図ってくるだろう。
タフな状況であっても、谷口永遠は全力で楽しむ。笑ってシーズンを終える。



