発掘された原石が渋く光る。ダイナボアーズの松本光貴は「毎試合、いい準備を」
多くの市民にとっては見上げるほどに大きい。ただ、トップカテゴリーのラグビーのステージではとびぬけた大柄選手とは見なされない。
サイズ以外の強みで勝負する。
松本光貴。身長190センチ、体重107キロの24歳は、国内リーグワン1部の三菱重工相模原ダイナボアーズに所属。2メートル級の海外選手がひしめくLOのポジションにあって、低いタックルの精度、防御ラインの背後をカバーする運動量を長所にチャンスを掴む。
第13節までに8戦でプレー。レギュラーシーズンを5試合残して前年度の出場数を3つ上回っている。
「毎試合、いい準備をして、いいパフォーマンスを出す。これはスタートでもリザーブでも、変わらず意識していることです。少しずつ、80分間を通してフィジカルを見せられるようになってきているかなと」
いまとなっては泥臭さを看板に掲げるも、世に出るきっかけは恵まれたサイズで掴んだ。
明治大学付属八王子高の2年生だった2018年。できたてのプロジェクトだった通称「ビッグマン&ファストマンキャンプ」に参加した。日本ラグビーフットボール協会のもと元日本代表の野澤武史氏が企画した、体格や身体能力に長けた未完の大器を育てる試みだ。選出された大器晩成型の若者にとっては、協会名義の活動にリストアップされることで競技を続けやすくなるというメリットがある。
松本は、このキャンプの一期生のひとりだ。
白羽の矢が立ってからは明大への内部進学をスポーツ推薦で決め、まもなく20歳以下日本代表にも入った。
「自分の場合はそんなに強い高校でもなかった(在校中の全国大会出場はゼロ)。あそこ(当該のキャンプ)で見つけてもらえて、トップレベルのコーチに指導していただいて、キャリアを始められた感があります。感謝しています」
その流れで、日本最高峰の舞台へも参戦しているのだ。各国代表経験者もいる舞台で、渋い光を放つ。
全国から俊英の集う明大では、レギュラーに定着するのが難しかった。そのことをリーグワンで見返したい思いは、「少し。はい」。ダイナボアーズから誘われた学生時代は、将来を考えて一般就職を検討することもあったもの。結局は首を縦に振り、いま、その決断を自ら正解にしようとしている。
「明大ではいい選手がたくさんいたので浮き沈みはありましたが、特にそのことは(後ろ向きには)考えていません。ダイナボアーズに入ってからは、ダイナボアーズで活躍する選手になることだけを考えてきました」
3月29日、東京・秩父宮ラグビー場での第13節でも4番をつけた。進境著しいリコーブラックラムズ東京に7―33で敗れた。
勝負どころでラインアウトを確保しきれなかったことを受け、足元を見つめ直す。
「リコーさんのプレッシャーが想像以上だったこともありますが、自分達に動きのミスがあった。それは、今後ゼロにしていかなきゃいけない」
旧トップリーグ時代に優勝経験のある東京サントリーサンゴリアスには2連勝中も、ここまでの通算戦績は4勝9敗。課題は「一貫性」だと松本。試合ごとの出来幅を安定化させる秘訣を聞かれ、「選手間でもっとコミュニケーションを取り、迷いなく自信を持ってプレーするようにすればもっといいチームになれる」。当事者意識を持ってグループをリードする。




