国内 2025.12.05

東京サントリーサンゴリアスの新キャプテン、FLサム・ケインが示すリーダーシップとリスペクト。

[ 編集部 ]
東京サントリーサンゴリアスの新キャプテン、FLサム・ケインが示すリーダーシップとリスペクト。
グラウンドで話し込むサム・ケイン新キャプテンと小野晃征HC(撮影:木村大輔)

 9日後に迫った「NTT ジャパンラグビー リーグワン2025-26」開幕戦を前に、ディビジョン1の東京サントリーサンゴリアスが12月4日の練習を報道陣に公開。トレーニング終了後には、今季キャプテンに就任したFLサム・ケインらがシーズンに向けた抱負を語った。

 この日のトレーニングセッションはランを中心としたウォーミングアップからスタート。10人程度のチーム同士によるゲーム形式の練習では低強度のコンタクトで体がぶつかる中、テンポの良いアタックムーブが次々と見られた。

 就任2季目の小野晃征HCは、今季のスローガン『PROUD TO BE SUNGOLIATH』について「歴史があるクラブですが、ここにいることに満足せず、選手・スタッフ、ファンを含めて『サンゴリアス』であることに誇りを持てるようなチームを作っていきたい」と説明。船頭役はニュージーランド代表“オールブラックス”通算104キャップで元キャプテンのサム・ケインに託された。

 ワールドクラスのハードタックラーであり不屈のスキッパー。サンゴリアス加入3季目でキャプテンに就任したサム・ケインについて、これまでのプレーや振る舞いを見てきた小野HC曰く「キャプテンじゃない時は遠慮していた」という。過去の経験や実績をふまえながら「キャプテンでいる時の方が、彼の強みや自分の力になっていると思う」という考えで、今季のキャプテンに指名した理由を明かした。

 サンゴリアスの文化や歴史に深いリスペクトを示すケインは、チームのキャプテンを務める心境を「名誉であり光栄です」と表現する。昨年限りでオールブラックスを引退したことで、サンゴリアス加入後初めてチームにフルコミットするプレシーズンを過ごした。この日の練習には参加せず見学していたが、準備期間で「練習を楽しめましたし、チームメイトや『どういったラグビーがしたいか』の理解も深まった」と組織と個人の順調な仕上がりをアピールした。

 世界最高のナショナルチームを率いた経験で養ったリーダーシップは、自身が「良い例」となることで発揮されるようだ。

「自分の中での高いスタンダードを示して、結果的に他の選手に影響を与えたいです。良い人でもありたいと思いますし、周りをリスペクトして、自分の中での一番良い選手になりたいです」

 単独での外国人キャプテンはチームの歴史上初めてのこと。言語の壁がシームレスな意思疎通の障壁となる可能性はあるが、ケインは加入以降、継続的な日本語学習を続け努力を重ねてきた。バイスキャプテンのSH流大は英語が話せるため、コミュニケーションの面でも頼りになる存在だ。

 もう一人のバイスキャプテン、日本代表LOハリー・ホッキングスは全体を統括するケインのサポートとして「ラインアウトやFWグループのサポート、他のリーダーシップグループのアシスタント」の役割を担う。

 今季、チーム内での肩書は付いていないが、日本代表FL下川甲詞はチームを牽引するキーマンとしての自覚を持つ。「チームのカルチャーであるPRIDE・RESPECT・NEVER GIVE UPをリードしていく」と意欲を見せる。

「代表ではディフェンスリーダーを務めていたので、役職には就いていないですがリードしていきたいです」

 サム・ケイン新キャプテンを支えるプレーヤー一人一人が、高い意識と誇りを持つことでサンゴリアスは高みへ到達する。12月13日の開幕戦は、秩父宮ラグビー場のビジターゲームでリコーブラックラムズ東京と対戦する。翌週の20日のホスト開幕ゲームでは、トヨタヴェルブリッツを味の素スタジアムに迎える。

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