いよいよワラビーズとのテストマッチ3連戦がスタート。ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ2025オーストラリア遠征クライマックスの注目選手を紹介!

イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズというヨーロッパの強豪ユニオンから精鋭たちを選抜し、4年に結成される国際ラグビーのドリームチーム、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ。6月下旬より始まった2025年のオーストラリアツアーはいよいよ後半戦に突入し、今週末にはオーストラリア代表ワラビーズとのテストマッチシリーズ(全3戦)の第1戦がおこなわれる(7月19日日本時間19時キックオフ)。
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チーム結成直後の6月21日に開催されたアルゼンチン代表との「1888カップ」は24-28で惜敗したライオンズだが、オーストラリア到着後に地元のスーパーラグビークラブと戦った4試合はすべて勝利。さらに12日におこなわれたオーストラリアとNZのトッププレーヤーによる連合軍、AUNZインビテーショナルXV戦では本来の実力を存分に発揮し、48-0で快勝を収めた。
ゲームを重ねるにつれて選手同士の連携が向上し、チームとしての戦い方も浸透。試合内容はまだまだ余裕を感じさせる印象で、クライマックスに突入する今週末からさらに勢いを加速させそうな予感を抱かせる。
迎え撃つワラビーズは、今季初戦となった7月6日のフィジー戦で相手の驚異的なランナーたちの個人技に苦しみ、終盤までリードを許す厳しい戦いを強いられたが、ラストプレーでNO8ハリー・ウィルソンが劇的な逆転トライを奪い、21-18で辛くも勝利した。すっきりしない内容に現地メディアではライオンズ戦に向け厳しい見方の記事が数多く報道されているが、各クラブの試合でプレーしたメンバーも集結するテストマッチでは、一変した姿を見せる可能性は十分ある。
ここでは19日からスタートするテストシリーズを見据え、鍵を握りそうなライオンズの注目選手を紹介してみたい。

HOダン・シーハン(アイルランド)
191センチ、110キロの均整のとれた筋肉質の体をフル稼働させ、セットピースのみならずフィールドプレーでも圧倒的な存在感を誇示する近代的HO。バックロー並みの運動量と多彩なハンドリングスキルを併せ持ち、タッチライン際でボールを持って豪快に突破を図る姿はさながらNO8のようだ。
アイルランドの首都ダブリンに生まれ、ジョニー・セクストンらを輩出したアイルランド最古のラグビークラブのひとつであるベクティブ・レンジャーズで5歳の時にラグビーを始めた。当時から体が大きく、非凡な才能を示し、ボールを持てばほぼ確実にトライを取るような選手だったという。
その後も強豪チームで順調に成長を続け、2020年にレンスターでプロデビュー。翌2021年11月の日本戦で代表デビューを果たし、本年のシックスネーションズ終了時点までに32キャップを獲得している。ライオンズは今回が初選出で、フォースとの遠征初戦でファーストトライをマーク。ワラビーズとのテストマッチでも猛烈な推進力でチームに勢いを生み出すことが期待される。

LOマロ・イトジェ(イングランド)
イングランド代表93キャップを誇る世界最高峰のLO。ライオンズは22歳で初選出された2017年NZツアー、2021年の南アフリカツアーに続き3度目の参加で、今回は栄えあるキャプテンに指名された。
198センチ、110キロと国際級のLOとしては大型ではないものの、類まれな身体能力と抜群のラグビーセンスを合わせ持ち、闘志を前面に押し出したプレーでチームに推進力をもたらす。跳躍力を生かした空中戦の強さには定評があり、密集のど真ん中を泳ぐように割ってボールに絡むモールディフェンスでもおなじみだ。
ナイジェリア出身の両親を持ち、ロンドンで生まれ育った。11歳でラグビーを始め、19歳の時に名門サラセンズとプロ契約を結ぶ。2016年のシックスネーションズで21歳にしてイングランド代表デビュー。たちまち世界でも屈指のLOと評されるようになり、2016年、2017年、2021年の3度、ワールドラグビーの年間最優選手候補にノミネートされた。
名門ハーロー校、ロンドン大学に学び、ウォーリック大学でMBAを取得するなど学業も優秀。実力と経験、人格を兼ね備えたスキッパーとして、ワラビーズとのテストマッチでも最前線に立ってライオンズを力強く牽引するはずだ。

FLジャック・モーガン(ウエールズ)
180センチ、105キロとインターナショナルのFLとしては小柄だが、尽きることのないスタミナと抜群の嗅覚、特大の闘争心でフィールドを駆け回り、ボールに絡み続けるウエールズの闘将。今回のライオンズでウエールズから選出されたのはSHトモス・ウィリアムズと2人だけだったが、そのウィリアムズがフォースとの遠征初戦でハムストリングスを痛め離脱。現在はただひとりのウエールズ選手として同国サポーターの期待を一身に背負い、奮闘を見せている。
カーディフの西75キロほどに位置するスウォンジーの出身で、同地を本拠とするスカーレッツのアカデミーで頭角を表した。2019年にスカーレッツでプロデビューを果たし、2021年にはオスプリーズに移籍。その間にはU20ウエールズ代表のキャプテンも務めている。
2022年のシックスネーションズスコットランド戦でウエールズ代表として初キャップを獲得。その後一旦はスコッドを外れたものの、オスプリーズで一貫したパフォーマンスを発揮して代表に復帰し、2023年のW杯フランス大会では共同キャプテンを務めた。不屈のメンタリティで攻守に体を張り、エネルギッシュに動き続けるプレーぶりは必見だ。

SOフィン・ラッセル(スコットランド)
卓越したスキルセットとビジョン、際立つフットボールセンスを合わせ持つ天才的プレーメイカー。世界でも稀有なゲームコントロール力を有し、2017年、2021年に続き自身3度目のライオンズツアーとなるワラビーズとのテストシリーズでは、ライオンズの10番を背負う本命と目されている。
エディンバラとグラスゴーの中間にあるスターリングの出身。ユース時代はラグビーに情熱を燃やす一方で、経済的な理由から石工の見習い修業にも励んだ。2013年に奨学金を得て、NZのクライストチャーチに15週間留学。2014年にグラスゴーとプロ選手としてフル契約を結び、すぐにトッププレーヤーの仲間入りを果たした。
スコットランド代表デビューは2014年6月のアメリカ戦。W杯には2015年、2019年、2023年と3大会連続で出場した。その間にはグレガー・タウンゼントHCとの確執から代表を外れる期間もあったが、その後和解し、2024年からは共同キャプテンを務めている。
<J SPORTS 放送予定>
ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ対オーストラリア 第1戦
7月19日(土) 午後6時40分〜
解説:藤島大、沢木敬介
実況:長澤洋明
ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ対オーストラリア 第2戦
7月26日(土)7月19日(土) 午後6時40分〜
日本時間19時キックオフ
解説:沢木敬介、菊谷崇
実況:矢野武