何が足りないかを見つめ続ける。木村星南[東芝ブレイブルーパス東京/PR]
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リーグワンのベストフィフティーンに、2季連続で選ばれた。
木村星南(きむら・せな)。
東芝ブレイブルーパス東京で不動の左プロップである。
今季は第13節を除く19試合に出場。トータル1182分にグラウンドに立った。
消耗の激しい第1列でありながら、出場時間が後半30分を超える日も少なくなかった。
決勝に至っては後半38分までプレー。今季最長だった。
「最後は死に物狂いでした。一瞬でも気を抜いたらダメというプレッシャーもあり、精神的にも肉体的にも一番タフなゲームでした」
リーグワン初の連覇には、「リーグのレベルが上がる中で僕らもレベルアップできた。取り組んできたことが報われました」と破顔した。
「シーズン中は『連覇』という言葉は使っていませんでした。もう一度、優勝を取りに行くと。ようやく連覇という言葉を口にできます」
個人では昨季のファイナル以上に、チームに貢献できたと実感する。
スクラムでは、今季リーグNO1と評されるクボタスピアーズ船橋・東京ベイを抑え込んだ。
「何本かペナルティは取られましたが、自分の中ではかなり手応えがありました。ただ、僕だけがいきすぎてしまうと、(レフリーの)見え方がよくなかったりする。そこは学びになりました」
昨季のファイナルは「ただそこにいただけ」との反省があったから、喜びもひとしおだ。
「今年はチームのために何か一つでも二つでも貢献したいと思っていました。長い時間出させてもらいましたし、何個かはチームにプラスになるようなプレーができたと思います」
プレゼンターを務めたサクラフィフティーン(女子15人制日本代表)のキャプテン、長田いろはからベストフィフティーンのトロフィーを受け取ったのは決勝の翌日。
府中開催の祝勝会で「飲み明かし」、アワードに参加していた。
「(アルコールは)全然、残ってます(笑)」
初選出となった昨季との違いを問われ、「去年より少しはふさわしくなれたかな」と微笑んだ。
昨秋は追加招集で日本代表の合宿に参加。エディー・ジョーンズHCからの指令を受け、「自分に何が足りないかを見つめる」オフを過ごしていた。
「まずは世界と戦うための体のデカさ。あとはディフェンスです」
「運動量を維持しながら」昨季から4キロの増量に成功。「写真を見返すと全然違う」という。
ディフェンスでは、藤田貴大アシスタントコーチから練習後に細かいスキルを学んだ。
課題とした「しつこく長い間ファイトする」ことができた試合を増やせた。
「ダブルタックルで2人目がしつこくボールに絡んだり、持ち上げたりできれば、周りのメンバーがセットする時間を稼げます。決勝でクボタは体の大きいFWでモメンタムを生んでBKで速く展開したかったと思うけど、僕たちが2人で時間を作ってディフェンスを整備できた。キックを蹴らせることができたと思います」
6月12日発表された日本代表のメンバーリストに、木村星南の名前はあった。
シーズンの最初から代表活動に参加するのは初めてだ。
決勝翌日時点では内々での連絡はまだなかったこともあり、こう言葉を紡いでいた。
「2年連続で賞をいただきましたが、自分の評価と周りの評価にはズレがあると思っています。自分を俯瞰して見て、何が足りないかを分析できればレベルアップに繋がる。満足したらダメ。まだまだ足りていないという気持ちでやっていきます」