【ラグリパWest】リーチ2世。石橋チューカ [報徳学園/NO8]
おばあちゃんはチューカが体重を増やす試みにも全面協力してくれる。
「作ってくれるごはんはなんでも美味しいです。特に好きなのは肉じゃがです」
弁当や補食のおにぎりも手渡す。
「お米よりお餅が食べやすい、と言えばお餅を出してくれます」
感謝がある。体重は入学時から15キロ増の90キロになった。
おばあちゃんのごはんでできた体を居残りのウエイトトレで鍛え上げる。
「毎日、全体練習が終わってから、1時間くらい部位を変えてやります」
相棒は同級生LOのジョーンズ日光。アメリカ人の父と日本人の母を持つ。
「ジョーンズはトレーニングのことに詳しい。お互い、強くなれたらいいなと思います」
自己最高はベンチプレス100キロ。スクワットは140キロだ。
「まだまだです。スクワットは210キロを挙げる人もいます」
飽くなき向上心がある。
ジョーンズら同期は当然ながら、チューカは後輩も大切にする。森泰造は1つ下のSH。父の拓郎は関西大の監督である。
「息子と話をすると、よくチューカ君の名前が出て来ます。優しい、って言っています」
本人は不思議そうな顔をする。
「自分ではわかりません。後輩たちには普通に接しているつもりです」
チューカは今、人としてパーフェクトな状態なのかもしれない。
競技を始めたのは糸引小の3年から。友達の誘いで姫路ラグビースクールに入った。
「楽しかったです。自由に走れました」
姫路・灘中2年で兵庫県ラグビースクールに移る。並行してやったのは小学校で陸上のハードル、中学校は相撲だった。
「相撲で足腰が鍛えられたと思います」
報徳学園を選んだ理由を話す。
「中学の時は女子がにぎやかでした」
男子校で勝負に集中すると決めた。
最上級生になるチューカは最初の全国大会に挑む。3月25日に開幕する23回目の選抜大会だ。報徳学園としては4年ぶり5回目の出場。選考となる近畿大会は連勝した。初戦の奈良朱雀・奈良商工には118−0、関大北陽には58−12とともに圧倒する。
「ボールを持ったら、必ずゲインをして、チームが勝てるようにしていきたいです」
チューカは力を込める。この学年は報徳史上最高との呼び声が高い。SO伊藤利江人(りえと)やWTB海老澤琥珀(こはく)、FB竹之下仁吾ら才能が集まる。3人は7人制日本代表の予備軍であるセブンズユースアカデミーに2年生から召集されている。
今年のチームスローガンは「IMPACT」。チューカは赤黒ジャージーの先頭に立って、対戦相手に衝撃を与え続けたい。