ワールドカップ 2019.10.29
イングランド、ベン・スペンサーを負傷カバーの緊急招集

イングランド、ベン・スペンサーを負傷カバーの緊急招集

[ 竹鼻智 ]

 26日の試合でのハインツの負傷を受け、即座にスペンサーに連絡し、日本へくる準備をするように要請したという、ジョーンズ監督。イングランドのプレミアリーグはすでに開幕を迎えており、マッチフィットネスという点では、スペンサーのコンディションには問題ない。

 決勝戦前での緊急招集といえば、2011年大会に、相次ぐSOの負傷を受け、緊急招集された、ニュージーランドのスティーブン・ドナルドの話が思い出される。休暇中に釣りをしていたところへ突然電話でこの知らせを受け、オフ中のたるんだ体でジャージがキツそうだったドナルドの話は、多くのラグビーファンが覚えている。ドナルドの緊急招集の時との違いを問われると、「まずベンは、ジャージがキツくて入らないことはないでしょう。それから、連絡をした時に釣りを楽しんでいたということもないでしょう。これが大きな違いです」、と余裕の回答で、笑いを誘った。

 また、準決勝で南アフリカに敗れたウェールズのウォーレン・ガットランド監督が、「イングランドは準決勝で最高のパフォーマンスを見せてしまい、多くのチームが決勝ではいいプレーをできない」、とのコメントを残していたことについて聞かれると、「ウォーレンには、3位決定戦を楽しむようによろしく言っておいて下さい」、と言ってさらに笑いを誘った。

 決勝戦を前に緊急での負傷カバー選手の招集という事態にも動じずに、余裕の構えを見せるイングランド。準決勝での素晴らしいパフォーマンスの後で、自身の哲学として掲げる、「毎試合、向上を続ける」ことが可能かと聞かれると、「100パーセント可能です。我々は、まだ何の結果も残していません。目の前にあるのは、素晴らしい機会だけ。この機会に向けて、さらに向上する為に、準備をするだけです」、と真面目な面持ちで会見を終えた。

 会見場でのジャーナリストのやりとりや、メディアを通じた相手チームとの心理戦も「勝負のうち」とする、百戦錬磨の名将、ジョーンズ監督。緊急招集という不測の事態も何のその。2日(土)の決戦に向けて、着々と準備を進める。

PICK UP