国内 2019.03.01
帝京大の卒業生たちの声。9連覇が残したもの。

帝京大の卒業生たちの声。9連覇が残したもの。

[ 多羅正崇 ]
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 2月17日から東京・栗田工業グラウンドで始まった「第5回TIDキャンプ」でのことだった。

 ジュニア・ジャパン、U20日本代表を見据えたキャンプで、ユース世代に精通する日本代表の15人制強化副委員長、ユース統括の山神孝志氏が練習を見守っていた。山神氏は近年のユース世代について「世界で十分戦える手応えがあります」と語った。

 どうして日本のユース世代が、世界に迫っているのか。

 その理由として山神氏は、コーチの成長、情報の高度化、そして、帝京大の存在を挙げた。

「ひとつのモデルケースになりましたよね。岩出先生(雅之・帝京大監督)は人格形成を含めて色々されました。連覇するチームに対して、みんなが追いかけました」

 帝京大が大学のレベルを引き上げた面は?

「もちろんあると思います」

 帝京大が負けた大学選手権準決勝の翌日。大阪・東大阪市花園ラグビー場では、第98回全国高校ラグビー大会の準々決勝4試合が行われた。

 花園ラグビー場の正門前で、関西のラグビーファンに、天理大の勝利について尋ねていた。

 学生時代のラグビー仲間だという、初老の男性2人組がいた。天理大のスクラムについて熱く語ったあと、片方の初老男性が言った。

「あの同志社でも3連覇。大学は毎年人が替わるでしょ。帝京はホンマにすごい」

 連覇は途絶えた。しかし帝京大ラグビー部が着ている尊敬という名のジャージはなかなか脱げそうにない。

(文/多羅正崇)

丁寧なファンサービスをおこなう坂手淳史。(撮影/松本かおり)

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