「勝たないと意味がない」と言い切る、慶大・古田京主将の悔いなき敗戦。
試合後の古田はキャプテンらしく振る舞った。
「チームの中には地道に裏の仕事をやってくれる人がたくさんいました。その人たち(の苦労)が報われるのは結果(が残ったとき)だと思いますが、それを出せなかった。悔しいです」と話しながらも、4年間を振り返り、「強豪校からの勝ちは少なかったけど、本当に充実していた。楽しい時間でした」と表情を崩した。
ラストゲームについて「力を出し切った」ときっぱり言った。
「79分40秒まで勝っていたんですから。早稲田との間に差があるとは思っていません。勝負事にはいろんな要素がある」
勝敗の分岐点となったコラプシングのシーンを回想し、「スクラムについては分かりません」と話した。
「自分たちの準備、パフォーマンスには後悔がありません。早稲田(のパフォーマンス、残した結果)をリスペクトします。うちのスクラムは(試合の中の多くの場面で)押していた。それらははっきりしています。昨年までの負けにはしっかり理由があって改善すべき点がありましたが、今年はそういうものがない。(それでも良い結果が出ないのは)そういう運だったのかな、と」
11月23日の早慶戦では差を広げられたところから逆襲するも、追いつけずに敗れた。
その試合での反省を活かし、コミュニケーションをより密にして臨んだ今回。「きつい時間帯にどう話し、どう動くかを考えてきたし、それを出せた」けれど、勝利には届かなかった。古田は「この悔しさをどうすればいいのか」と言った。
「悔しさをどこにぶつければいいのか分かりません。ここで負けたから何かを伝えようとか、負けた悔しさを社会人になってから(活かそう)とか、そういう気にもなれない。(まだシーズンが続くと思っていたので)先のことはノープランです」
古田と副将の辻雄康は試合後、仲間や後輩たちの前で同じことを言った。
「勝たないと意味がない、と。いい仲間はすでにいます。だから結果が(手に入れたいものの)すべて、と言いました」
仲間とともに大学ラグビーの頂点へ向かう道は途切れた。
しかし、医学部に学ぶキャプテンの学生生活は続く。
人生は長い。