ニュージーランドの南島に位置するクライストチャーチ・ボーイズ・ハイスクール(以下、CBHS)とクライスト・カレッジによる、伝統の一戦が今年も開催された。
1892年に始まり、今年で140回目を迎えたこの対決は、CBHSが激戦の末に48-38のスコアで4年連続の勝利を辛くも手にした。
CBHSのYear13(日本でいう高校3年生)で、3年連続の出場を果たした渕上裕(ふちがみ・ひろ)は、2年前にYear11(高校1年)で一人だけファースト・フィフティーン(以下、1st XV/1軍)に選出されている。
高校ラストイヤーとなる今年も、引き続き1XVで活躍し、昨年同様に背番号9のジャージーをつけて先発出場を果たした。
同じクライストチャーチにある対戦相手のクライストカレッジもまた、ラグビー界に有名な選手を輩出している名門校だ。
OBには、オールブラックスでも活躍しているSO/FBダミアン・マッケンジーや、埼玉ワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督などが名を連ねている。
日本人選手では昨年カンタベリーでビューした三宅駿が、在学中にこの伝統の一戦に出場していた。
Miles Toyota Premiership(クルセイダーズ地区の1XVの大会)の第4節にあたる同試合は、6月3日の肌寒い午後1時、曇りに覆われたクライスト・カレッジでおこなわれた(35分ハーフ)。
立ち上がりはCBHSが勢いを見せ、開始10分で2トライを挙げた。
ホームのクライスト・カレッジもすぐに1トライを返して7-12と食らいつくが、その後は再びCBHSが優位に立った。
FWがよく前に出てゲインラインを続々と突破。20分、28分にトライを追加し、24-7とリードを広げた。
しかし、ここからクライスト・カレッジの反撃が始まる。
31分にはFBギャビン・ホルダーが約50メートルを走り切る独走トライ。このトライで息を吹き返し、前半終了間際のピンチも堅いディフェンスで防ぐ。12-24でハーフタイムを迎え、後半に望みを繋いだ。
ハーフタイムではこの一戦でお馴染み、応援に駆け付けた生徒たちによるハカ合戦が披露された。
これに応えるように、後半も熱い35分が繰り広げられた。
CBHSは後半4分、PGで27-12とリードを広げたが、またしてもクライスト・カレッジが追い上げる。
再びFBホルダーのビックゲインからチャンスを演出、トライを挙げた。19-27と8点差に迫った。
10分、CBHSの放ったPGがポストに嫌われると、クライスト・カレッジはカウンターを仕掛け、一気に中央までボールを運んだ。
さらに反則を犯したCBHSにシンビンが出る。まもなくトライを奪い、1点差(26-27)まで迫った。
20分にはCBHSに26ー34と再び8点差とされるも、3分後にはラインアウトモールで2度目の1点差(34-33/23分)に。
その後は両校1トライずつ追加し、試合終了残り5分で41-38とスコアは動いた。
終盤はCBHSの猛攻が続き、クライスト・カレッジが固い防御でなんとか防ぐも、残り時間1分で決勝トライを挙げ、試合を決めた。
最終スコアは48-38。
CBHSは猛追に遭いながらも、一度もリードを許さなかった。
敗れたクライスト・カレッジも、最大17点差のビハインドから二度も1点差に迫る執念を見せた。
これで両校の戦績はCBHSが88勝、クライスト・カレッジが43勝、そして9引き分けとなった。
勝利した瞬間は喜びを爆発させていた渕上はしかし、試合を終えると「アベレージ」(良くも悪くもない)と自身を評価した。
昨年はクルセイダーズ地区で優勝を逃したこと、2年前には全国大会(TOP4)を目前に南島代表決定戦でサウスランド・ボーイズ・ハイスクールに28-29で敗れた経験からだろう。
あえて厳しめの評価を下していた。
CBHSはクルセイダーズ地区の昨季チャンピオン、ネルソン・カレッジにも5月24日に58-31で勝利している。
2年ぶりの地区優勝、その先の全国大会(TOP4)に向けて楽しみは続く。
【関連記事】
日本人高校生が、クライストチャーチ(NZ)の名門校で開幕戦先発出場。
クライストチャーチボーイズ高の渕上裕が伝統の一戦で先発。トライも挙げる。
準決勝では日本人対決も。クライストチャーチボーイズ高校の渕上裕がクルセイダーズ地区で優勝
クライストチャーチボーイズ高の渕上裕が、2年連続で伝統の一戦に出場。トライも挙げる