イングランドラグビー協会(RFU)のビル・スウィーニーCEOは、同協会も本部を置くイングランド代表の本拠地、トゥイッケナム・スタジアム(アリアンツ・スタジアム)をサッカー・プレミアリーグのチェルシーFCが一時的にホームスタジアムとする将来的な可能性を否定しなかった。4月30日までにスカイスポーツなど複数の英国メディアが報じている。
プレミアリーグ優勝5回の強豪、チェルシーはロンドン中心部から見て西部にあるスタンフォード・ブリッジをホームスタジアムとしているが、約40,000人規模である収容人数の増加をめざして、スタンフォード・ブリッジの拡張か、アールズコート地区への移転を検討している。
この検討の中で、チェルシーの一時的なホームスタジアムとして、スタンフォード・ブリッジから西に約10kmに位置する、収容人数82,000人のトゥイッケナムを使用する案が2017年より報じられてきた。
リッチモンド自治区にあるトゥイッケナムは区議会が定めたライセンス(認可)によりラグビー以外のイベントを年間3回しか開催できず、日程も2日間まで、入場者数も55,000人以下に制限される。このライセンス制限により人気アーティスト、ビヨンセのコンサートが開催できずRFUの収益機会を逸したとされている。
スウィーニーCEOはこの件をふまえて、RFU本部およびスタジアムをロンドンから離れたミルトン・キーンズやバーミンガムに移転する可能性を示唆していたが、スカイスポーツは“聖地移転”の可能性は無くなったと報じている。
RFUは2024年6月の決算で3,790万ポンド(約72億円)の営業損失を計上した。さらに6.63億ポンド(約1,256億円)のトゥイッケナム再開発計画を立てており、収益機会の確保、増大が必要とされる。
ガーディアンによるとRFUはこの障害となるライセンスの変更をリッチモンド区議会に働きかけており、年間15回のイベント開催と収容人数75,000人への緩和の可否について9月まで回答を待っている状況だという。
トゥイッケナムでラグビー以外のイベントも開催することが収益をもたらし、スタジアムへの投資の正常化とサポートにつながると訴えるスウィーニーCEOは、スカイスポーツのインタビューで「リッチモンド自治区との話し合いは生産的で、とても前向きなものです」と語った。
RFUの収益に多大なインパクトをもたらす可能性がある、チェルシーがトゥイッケナムを一時的にホームスタジアムとして使用することの是非については「そのような話し合いはしていない」としつつも「財政的な観点からは良いことだと思います」と述べた。合わせて「しかし、リッチモンド自治区や住民と非常に深い話をしなければならないでしょう」と語り、この件でも地元の理解から成るライセンスの変更が必要だとの考えを示した。