マインドセット(心理状態)の問題を理由にオーストラリア代表から一時離れていた世界的フランカーのマイケル・フーパーが、オータムネーションズシリーズの初戦で復帰する。現在ヨーロッパに遠征中で、現地時間10月29日にエディンバラのマレーフィールドでおこなわれるスコットランド戦で7番をつけて先発予定。キャプテンは引き続きプロップのジェームズ・スリッパーに任せるが、この日はフーパーにとって31歳の誕生日でもあり、105日ぶりの戦列復帰とともに祝いたいところだ。
伝統あるオーストラリア代表“ワラビーズ”のキャプテンを最も多く務めてきた男。テストマッチ出場は、休養する前にプレーした今年7月16日のイングランド戦で121試合となっていた。
しかし、8月のアルゼンチン戦前に離脱。自分の国を率いるには“正しいマインドセット”ではないと辞退した。そして、南半球4か国対抗戦でもプレーすることはなかった。
ワラビーズに戻ってきたフーパーいわく、治癒にはほど遠いとのことだが、スリッパーをサポートしてラグビーを楽しみたいという。今回のツアー中、メディアの前で次のように語っている。
「私は長い間ラグビーをプレーしてきましたが、今年は私の人生にいくつかの大きな変化があり、アルゼンチン遠征中、多くのことが頭の中を駆け巡っていました」
フーパーは今年はじめに子どもを授かり、ホームシックも一因であると述べた。
「私たちは(ラグビーで)頻繁に旅をします。それは素晴らしいことでもありますが、大変なことです。家族のそばにいたかった。必要なことに時間を割ける場所にいたかったのです。私は別の場所にいる必要があり、それはアルゼンチンではなかった。かなり漠然としていることはわかっていますが、まだ頭を悩ませています。でもいまは、いたいと思っている場所にいると感じています」
信じられないほどタフで、忍耐強く、そしてまじめな態度で称賛される。しかし、プレッシャーとも戦いながら長いプロキャリアを続けるうちに、メンタルヘルスが不調となってしまった。
「私は若い頃、助けを求めるのは弱いことだと思っていました。すべてがうまくいったと思いたいのですが、そうではありませんでした」
助けが必要だと認めるのは最初は難しかったという。ワラビーズから離れたあと、家族、友人、スポーツセラピスト、プロのカウンセラーに、あらゆる種類の助けを求めたことを明らかにした。
キャプテンに復帰する計画は、少なくとも当面はない。1年後にはワールドカップがあるが、自身にとって3大会目となる出場を約束するまでには至らない。
ただ、いまはチームに戻れたことを喜ぶ。そして、ラグビーをプレーし、フィールドでの時間を楽しみたい。
「私は競うのが大好きで、このチームの一員であることを愛しています。試合を見たり、その場に出たり、チームと一緒にいたり、代表を務めたりするのが恋しかった。戻ってきて、ゲームでの自分の可能性に気づきたいと思っています」