今年、ザ・ラグビーチャンピオンシップ(南半球4か国対抗戦)のタイトルを逃すも、同大会の最終戦で宿敵ニュージーランド代表との死闘を制したワールドカップ2019王者の南アフリカ代表“スプリングボックス”は、ヨーロッパ遠征の初戦でウェールズ代表と対戦し、23-18で競り勝った。
現地時間11月6日、カーディフのプリンシパリティ・スタジアムでおこなわれた熱闘。堅守を武器とする両チームの対戦で、生まれたトライは1つだけだった。
前半8分、今年ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズにも選ばれたウェールズの20歳のWTB、ルイス・リースザミットが鋭いステップでディフェンダーを抜きゴール右を襲ったが、南アは主将のFLシヤ・コリシが懸命のタックルで外に押し出し、トライを許さなかった。
一方のウェールズも、何度が自陣深くに入られたが、粘り強いディフェンスを発揮する。48分(後半8分)には南アのCTBルカンヨ・アムがキックを使った個人技でチャンスを広げ、グリーンジャージーの男たちが14フェイズを重ねてゴールに迫ったが、赤いジャージーの“レッドドラゴン”は接点でボールを奪い返し、ピンチを脱出した。ウェールズは南ア得意のドライビングモールも、何度も止めた。
そして、15-15で迎えた63分、敵陣深くに入ったウェールズが左にスペースを作ってトライチャンスとなったが、なんと、観客と思われる男がピッチに侵入して邪魔となり、大外でボールをもらったWTBリアム・ウィリアムズはフィニッシュできなかった。
アドバンテージを得ていたウェールズはSOダン・ビガーのペナルティゴールで勝ち越したが、試合の流れを大きく変えたかもしれないシーンでの迷惑行動は、ウェールズに響くこととなる。
それに、ワールドカップ王者はしぶとかった。
3点ビハインドとなった南アは、68分のハイパントからのアタックは悲鳴と歓声を交差させるも、オフサイドがありトライは認められなかったが、73分にチャンスをものにする。敵陣深くに入ってラインアウトからモールを組み、力強くドライブしてHOマルコム・マークスがインゴールに押さえ、逆転した。
リードした南アは、その後も受け身にならずに攻め続け、最後はペナルティゴールで加点し、激闘を制した。