女子シックスネーションズ第4節が5月9日におこなわれ、フランスはスコットランドから11トライを奪い、69-28で勝利した。この結果、フランスはボーナスポイントを獲得。全勝を維持したまま、最終節で同じく全勝のイングランドと対戦する。
エディンバラのハイブ・スタジアムでおこなわれた本試合、フランスは開始1分で先制トライを決め、5-0とリードした。過去3戦では立ち上がりの遅さが課題とされていたが、今節では序盤から主導権を握る形となった。
その後、キャプテンのFLマナエ・フェレウがイエローカードで一時退場となった際、スコットランドにトライを許し5-7と逆転される。しかし、フランスはすぐにボール支配率を高めて試合をコントロールした。18分、SOカルラ・アルベスが敵陣22mライン内でディフェンスの裏にキックを上げ、自らキャッチしてトライを決めて再逆転。さらに3トライを追加し、前半を31-14で終了した。
後半、フランスは攻撃のテンポを上げ、さらに6トライを積み上げた。チームが目指す戦術の浸透がうかがえる内容であった。
一方で課題も残った。これまでの3試合(イタリア、ウェールズ、アイルランド戦)では各試合の失点を7点に抑えていたが、今節はスコットランドに4トライを許した。特にモールへの守備対応に不安を露呈している。
事実上の決勝戦となるイングランド戦に臨むため、フランソワ・ラティエHCは、前節から先発メンバーを2箇所変更した。フィジカルでしっかりと相手と互角に渡り合い、圧倒するために、破壊力のある左PRアンブル・エムワイエンベとフィジカルのハードさを持つFLアクセル・ベルトゥミューを先発に戻した。
メンバー選考について、ラティエHCは次のように述べている。
「途中出場してチームに貢献できる能力を持っている選手がいることも理由にあります。イタリア戦でもそれが見られましたし、アイルランド戦でもFLシャルロット・エスクデロが途中出場して、試合の流れをガラリと変えてくれました。まずはアクセルを起用し、その後にシャルロットを投入するというパターンが、現時点では良い構成であると考えました」
イングランドは、2022年W杯決勝でニュージーランドに敗れて以降、連勝を続けている。フランスが最後にイングランドから勝利を挙げたのは2018年3月にまで遡り、当時の勝利をピッチで経験した選手で代表チームに残っているのは、チーム最多の75キャップを持つSHポリーヌ・ブルドン=サンシュスのみとなった。それ以来、フランスは対イングランド戦で17連敗を喫している。
記者から心理面のアプローチについて問われたラティエHCは、次のように述べている。
「相手が世界チャンピオンであり、連勝中であることは紛れもない事実です。2018年以来勝てていないという現実から目を背けることはできません。週の初めにこれらの事実を客観的に提示した上で、その後は『今週の相手の状態はどうか』『互いの強みと弱みは何か』という分析に集中しました。深く考えすぎると、相手が必要以上に無敵であるかのように見えててしまうからです」
続けて、選手たちの心理状態と準備についてこう付け加えた。
「今週の目標は、準備してきた戦術で相手の裏をかくと同時に、彼女たちも『自分たちと同じラグビー選手である』という認識を持つことでした。初対戦の選手は相手を過剰に崇めるようなことはしてはならないし、敗戦が続いている選手たちには、その『リベンジの感情』をポジティブな原動力に変えてほしいと考えています。単なる『復讐心』だけでプレーしてしまうと、自分たちのラグビーができなくなってしまうからです。そうではなく、チーム内のポジティブなエネルギーを高めるための『原動力』として、今週の準備期間の中でその感情をうまく利用していくことが大切なのです」
ブルドン=サンシュスは、新しく加わった若い選手たちの物怖じしない大胆さが、イングランドを破るきっかけになるかもしれないと言及している。この発言を受けて、ラティエHCは次のように賛同を示した。
「彼女の言う通りです。物怖じしない大胆さというのは、何か面白いことを引き起こす可能性を秘めていますから。それに、相手を神聖視することをやめなければなりません。データやこれまでの実績において、相手が自分たちより優位にあるという事実は誰も否定していませんが、そうした先入観を払拭する必要があります。私たちがやるべきことは、80分間のラグビーの試合を戦うこと、ただそれだけです。そのうち実際にボールが動いている時間は約40分であり、その約半分をディフェンスに、もう半分をアタックに費やします。では、その40分間で私たちは何をすべきか。チームには明確な戦術があります。あとはそれをピッチ上で限界まで、全力でやり切るだけです」
具体的な戦術について、ラティエHCはイングランドの隙を次のように指摘した。
「イングランドはイタリア戦で4トライ、ウエールズ戦でも3トライを許しており、付け入る隙はあります。彼女たちのゲームプランは、開始20分間で試合をコントロールするのに十分なリードを奪うというものですが、それは試合を終わらせるには早すぎます。実際、彼女たちは去年のフランス戦で、そのやり方のせいで手痛い代償を払いそうになりました」
昨年4月の対戦では、イングランドが22分までに5トライを挙げて31-7と突き放したものの、その後にフランスが猛追し、79分には43-42と1点差まで追い詰める展開となっている。
ラティエHCは、序盤の攻防が勝負の分かれ目になるとの見解を示している。
「ですから、私たちが決めたのは、相手に主導権を握らせた状態で試合をスタートさせないということです。そして、こちらからもあえて彼女たちの強みに対して仕掛けていきます。試合開始直後から相手に疑念を抱かせ、システム化されたマシンのようなイングランドのラグビーを狂わせる。ひとたびその歯車が狂い始めたら、今度は私たちの番で、相手が最も嫌がる場所を攻めるという計画です。
これが私たちのプランですが、当然イングランドにもプランはあります。もし私たちが計画を遂行し、選手一人ひとりがベストを尽くすことができれば、納得のいくパフォーマンスは必ず生まれます。それが勝利につながるかどうかは試合が終わるまで分かりませんが、勝利を目指すというのは一種のプロセスです。ただ『勝つ』と大声を出すだけで達成できるものではありません」
最後に、ラティエHCは決戦に向けたチームの充実感を次のように語った。
「私たちにとって重要なのは、どうやって相手を倒すか、そして自分たちの最高のラグビーをして勝つための手段をいかにそろえるかです。これは非常に難しい作業ですが、だからこそやりがいがあります。この一週間、チーム全体がまさに熱気に包まれています」
日本時間 5月18日(月)午前0時45分キックオフ
フランス代表 イングランド戦メンバー
