ラグビーリパブリック

フランス・トップ14とプロD2の経済事情。収益は過去最高を記録するも、財務基盤の強化が課題

2026.05.05

前年比で営業収益約7パーセント増となったトップ14。写真はトゥールーズ×クレルモン戦(Photo/Getty Images)

 フランスのプロリーグ運営団体であるLNRは4月16日、ラグビー規制当局(Autorité de régulation du rugby)による2024-2025シーズンのプロクラブ財務状況報告書を公開した。

 LNRはプレスリリースにて、営業収益が過去最高水準に達し、成長の勢いが継続していると説明した。一方で、支出の抑制や各クラブの財務バランスの強化については、引き続き注視が必要であるとの見解を示している。

 報告書によると、トップ14とプロD2に所属する計30クラブの営業収益は、合計で過去最高の6億3,500万ユーロ(約1,175億円)となった。これは前シーズン比で6.1%増、過去10年間では60%の成長を記録している。

 収益の66%(約775億円)は、スポンサー収入、チケット売上、グッズ売上などの「ファンやパートナー企業との結びつき」から生み出されていることから、「フランスのプロラグビーの強い魅力を証明している」とLNRは分析している。

 人気の高まりを背景に、トップ14の観客動員数はレギュラーシーズン中に延べ290万人を記録し、前年比で6%増加した。これに伴い、チケット収入も前年比14.8%増の7,480万ユーロ(約138億3,800万円)と大きく伸長した。

 トップ14の収益の45%を占めるパートナーシップ収益(スポンサー料やホスピタリティ収入など)は、前年比7.2%増の2億690万ユーロ(約382億7,600万円)に達している。

 LNRからの分配金は8,810万ユーロ(約162億9,800万円)で、前年比3.2%の増加、過去10年間では42%増となった。この分配金には、放映権料やリーグ公式パートナー料、決勝トーナメントの収益、EPCR(欧州チャンピオンズカップ、欧州チャレンジカップの運営団体)からの分配金、シックスネーションズでのフランス代表の成績に応じた協会からの拠出金などが含まれる。

 結果として、トップ14全体の営業収益は前年比6.9%増の4億6,410万ユーロ(約858億5,800万円)に達している。

 2部リーグのプロD2における営業収益は、前年比3.9%増の1億7,050万ユーロ(約315億4,200万円)であった。レギュラーシーズンの観客動員数は140万人を超え、チケット収入も過去最高の1,420万ユーロ(約26億2,700万円、前年比4.9%増)を記録した。

 パートナーシップ収入は50万ユーロの微減となったが、依然として最大の資金源であり、営業収益の約半分(48%)を占めている。また、LNRからの分配金は3.1%増の3,830万ユーロ(約70億8,500万円)となった。

 プロ30クラブ合計の営業損益は、前シーズンの7,650万ユーロの赤字から、2024-2025シーズンは6,370万ユーロ(約117億8,400万円)の赤字となった。赤字幅は16.7%縮小しており、依然として赤字の状態ではあるものの、大幅な改善が見られる。

 この改善は主にトップ14が牽引しており、トップ14全体の営業損失は、前シーズンの6,450万ユーロから4,980万ユーロ(約92億1,300万円)へと減少した。

 全14クラブのうち、黒字(ラ・ロシェル、ボルドー、ヴァンヌ、ポー、トゥールーズ)または収支均衡圏内(バイヨンヌ、クレルモン、ペルピニャン)にあるのは8クラブで、前年度の6クラブから増加した。

 一方、残りの6クラブは依然として100万ユーロ(約1億8,500万円)を超える大幅な赤字を計上している。これらの欠損は、各クラブの株主(オーナー)による補填や自己資本によって補われている。赤字額が最も大きい3クラブは、トゥーロン(マイナス960万ユーロ)、モンペリエ(マイナス1,100万ユーロ)、スタッド・フランセ(マイナス1,630万ユーロ)であり、いずれも強力な資産家がオーナーを務めている。

 プロD2の営業赤字は、前シーズンの1,190万ユーロから、2024-2025シーズンは1,390万ユーロ(約25億7,150万円)へと増加した。

 全16クラブの内訳を見ると、営業黒字(オーリヤック、プロヴァンス・ラグビー)または収支均衡を維持(ヌヴェール、ベジエ、ソワイユ=アングレム、ヴァランス、モン・ド・マルサン、コロミエ)しているのは8クラブであり、前シーズンの10クラブから減少した。残りの8クラブは、50万ユーロ以上の赤字を計上している。

 営業費用の増加は全体で3.5%(トップ14で3%増、プロD2で4.7%増)と緩やかな推移に留まった。LNRはこの成果について、各クラブの経営努力と「サラリーキャップ」制度の相乗効果によるものであると説明している。この制度の影響もあり、選手の人件費総額は約2億ユーロ(約370億円)前後で安定している。

 人件費(給与および社会保険料)が営業費用全体に占める割合は54%であり、10年前の61%と比較して大幅に低下している。なお、トップ14の全14クラブのうち10クラブにおいて、選手への給与支払額がサラリーキャップ設定額(1,070万ユーロ=約19億7,950万円)の95%以上に達している。

 LNRは、今回の結果について、プロラグビーの経済モデルをさらに強固にする必要性を改めて示すものであると結論づけた。現在の収益成長を維持しながら支出を管理し、長期的な視点で自己資本を強化することが求められるとしている。LNRが展開するサラリーキャップ制度や財務管理、育成・スタジアム改修への投資促進策は、これらの目的を達成するために機能していると述べている。

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