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フランスラグビー界にまたも激震。デュポン&ジュロンの金銭スキャンダル疑惑が報じられる。

2026.02.11

シックスネーションズ開幕戦での快勝から一転、スキャンダルの渦中に陥ったデュポン。フランスラグビーの象徴的存在だけに、今後への影響が懸念される(Photo/Getty Images)

 シックスネーションズのアイルランドとの開幕戦でのフランス代表の勝利に盛り上がるフランスラグビー界に、再び激震が走った。

 2月9日の『レキップ』紙の調査報道により、スタッド・トゥールーザン所属のフランス代表キャプテン、SHアントワンヌ・デュポンと、同代表FLアントニー・ジュロンの長年にわたる肖像権契約が疑問視されている。メルヴィン・ジャミネの移籍騒動から1年、スタッド・トゥールーザンは新たな問題に直面することとなった。

 同紙の主張によると、スタッド・トゥールーザンのパートナー企業である「3S-Alyzia」社は、アントワンヌ・デュポンに150万ユーロ(約2億7千万円)以上、アンソニー・ジュロンに17万ユーロ(約3,060万円)を支払っていた。これらはイメージ・広告契約としての支出だが、それに見合う具体的な活動は確認されていないという。

 空港サービス会社「3S-Alyzia」は、同クラブの長年のパートナーであり、スタッド・トゥールーザンの本拠地であるスタッド・エルネスト=ワロンのピッチ周囲にあるLED看板や、ユニフォームの背中にも「Alyzia」のロゴが見られる。

 同社は2022年7月1日、アントニー・ジュロンが代表を務める「AJ 32」社とスポンサー契約を締結し、ジュロンのAJ 32社は3S-Alyzia社に対し、「サービス業務において、広告目的でジュロン氏の肖像に付随する権利を独占的に使用する権利」を付与している。具体的には、同社は、ジュロンの名前、肖像、および同選手を特定するあらゆる人格的要素(名前、肖像、署名等)を、3S-Alyziaグループの内部コミュニケーション資料(ウェブサイト、パンフレット、プレスリリース、企業VP、スライド資料など)および外部コミュニケーション(あらゆるメディア)で使用する権利を取得したと契約書に明記されている。その対価として選手側は、3S-Alyzia社が主催するイベントへの参加、広告キャンペーンや写真撮影、講演会などへの出席に協力することを約束している。

『レキップ』紙が調べたところ、契約締結より前の期間である2022年1月から6月分として、3S-Alyzia社はジュロンに2万ユーロ(約360万円)を支払っているが、まず同紙は、契約前の支払いに疑問を抱いている。その後、2022-2023シーズンに7万5,000ユーロ、2023-2024シーズンにもさらに7万5,000ユーロが支払われているが、同社が、ジュロンの肖像や名前を利用した形跡が見つからないのだ。

 一方、同社とアントワン・デュポンの個人会社「AD 9 Conseils」との間のこのビジネスパートナーシップは、2017年に彼がカストルから移籍してきた直後に締結され、その契約は期限を迎えるたびに更新され、間もなく10シーズンに及ぼうとしている。1シーズンあたり20万ユーロ(約3,600万円)程度の対価を支払っており、現在の契約が終了する頃には、その総額は180万ユーロ(約3億2,400万円)以上に達することになると『レキップ』紙は報じている。

 しかし、デュポンの場合も同様、支払われた報酬に見合う活動は見つからず、動画も、広告コンテンツも、ポスター掲出も、SNSへの投稿すらも、何一つとして存在しない。これだけの金額を投資して世界最優秀選手の肖像の使用権を得たのに、使われていないのは不自然である。

 この問題は、トップ14の各クラブに課されている「サラリーキャップ」に直結している。この総給与上限枠には、支払われた給与だけでなく、クラブのパートナー企業から選手へ支払われた報酬も含まれなければならない。この規定は偽装給与を防ぎ、スポンサー企業が選手に支払う肖像権料を本来の価値より上乗せして支払い、その増額分を、スポンサーがクラブへ支払うべき協賛金から差し引く「三角取引」を警戒することを目的としている。また、給与ではなく肖像権料として支払う手法は、「クラブにとっては社会保障料の節約になり、選手にとっては所得税の回避につながる可能性がある」と同紙は指摘している。

 さらに同紙は、デュポンがスタッド・トゥールーザンの別のスポンサーである「フィデュシャル(Fiducial)」社のアンバサダーを務めて得た報酬が、サラリーキャップの対象として申告されていなかったとも主張している。フランスラグビー界最多のタイトルを誇り、現在トップ14で3連覇中のスタッド・トゥールーザンは、これまでにも何度かサラリーキャップ違反を指摘されてきた。

 昨年春、同クラブは2022年にメルヴィン・ジャミネがペルピニャンからスタッド・トゥールーザンへ移籍した際の条件を巡る調停の結果、プロラグビー運営団体のLNRに対し130万ユーロ(約2億3,400万円)の「拠出金」を支払った。また12月には、この件がフランスラグビー規律委員会にかけられた結果、今シーズンの勝ち点2剥奪という処分を受けている。

 現地メディアは本件についてスタッド・トゥールーザンに取材を試みているが、現時点で回答は得られていない。

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