ラグビーリパブリック

今秋最大のビッグマッチで、2023年W杯の雪辱なるか。フランス代表が南アフリカ代表戦のメンバーを発表。

2025.11.07

南アフリカ戦のメンバー発表会見で報道陣に対応するファビアン・ガルチエHC(筆者撮影)

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11/8(土)午後9:00「アイルランドvs日本」生中継

 今週末(現地時間11月8日21時キックオフ)に南アフリカと対戦するフランス代表のメンバーが発表された。

 CTBガエル・フィクーが夏の遠征に引き続きキャプテンに選ばれた。ファビアン・ガルチエHCは、「彼は非常に調子が良い。良いプレシーズンを過ごし、しっかりリカバリーと準備ができ、これまでになかったような良いコンディションを保っている」とし、「彼をキャプテンに指名するのは理にかなったこと」と説明した。

 左PRシリル・バイユと右PRウイニ・アトニオの負傷による欠場のため、経験の浅い若手が抜擢された。1番にはバティスト・エルドシオ(25歳)、3番にはレジス・モンターニュ(25歳)が起用される。

 2人はこの夏のNZ遠征で代表デビューし、現在2キャップである。また、SHはノラン・ルガレックが先発し、負傷から復帰したばかりのマクシム・リュキュがベンチスタートとなる。ガルチエHCは、経験の浅いPRの選出に対する記者からの疑問の声に対し、強く擁護した 。

「土曜日には重要な一戦がある。これは現時点での私たちのベストチームだ」とし、「スタメンの選手たちについて疑問を呈するのはやめてもらいたい。それは少し侮辱的だ」と述べ、さらに「彼らは現時点で最高の2人のプロップだ。クラブでも、代表での練習でも高いパフォーマンスを見せている。最高の相手に対して自分たちに何ができるかを示すことを楽しみにしている」と強調した。

「チャレンジはとてつもなく大きいが、それはリザーブを含めたフォワード全体にとっても言えること」だと言う。

 HOペアト・モヴァカの負傷欠場により、リザーブはギョーム・クラモン(24歳)が初選出された。クラモンは2019年にトゥールーズに入団し、フランス代表に選ばれ続けてきたモヴァカとジュリアン・マルシャンの影で、トゥールーズで与えられた試合で結果を出し、成長してきた選手だ。

 NO8はグレゴリー・アルドリットがメンバーから外れ、本来LOのミカエル・ギヤールが、夏のNZ戦に続いてこの試合でも選ばれた。ガルチエHCはその理由を「現時点でのパフォーマンスだ」と答えている。

「ミカエル(ギヤール)はLOでもNO8でも高いパフォーマンスを見せており、彼の潜在能力を伸ばしたい。また、グループ内の競争も求めている」と説明した。アルドリットについては、「クラブでも代表でも非常に多くの試合に出てきた。選手がコンディションを回復できるように、ローテーションさせる必要がある」と語りつつ、「繰り返しますが、これが現時点でのベストチームだ」と強調した。

 この試合は、2年前の自国開催のワールドカップ準々決勝以来、初めての両国の対戦となり、現地メディアは「リベンジ」という言葉で盛り上げるが、ガルチエHCは未来に目を向けている。

「私たちはすでに未来に目を向けている。2年前の対戦は私たちを前進させるための経験となっている。2027年オーストラリア大会まであと20試合だ」と語り、先を見据えていることを示した。

 両チームの心理戦もすでに始まっている。フランス代表チームのメンバー発表の45分前に、南アフリカのエラスムスHCが、自身のフランスのメンバー予想を個人の「X」のアカウントに投稿した。また、フランス代表が合宿を行なっているパリ郊外の国立ラグビーセンターに、今週末にフランスU20代表との練習試合を行うために渡仏している南アフリカU20代表も宿泊し合宿を行なっている。

 普段はメディアに全て練習をオープンにしているガルチエHCだが、今週は一部だけの公開となり、南アフリカのU20スタッフのスパイ行為を危惧しているのかとも囁かれた。これらについて、ガルチエHCは「コミュニケーション戦略であり、論争を呼ぶ行為かもしれないが、スパイ行為などではない。私たちは戦略的なアプローチにおいて予防策を講じたのだ」と冷静にコメントした。さらに「ラシー・エラスマスは偉大なHCだ。代表チームを2度もワールドカップ優勝に導いた。そして南アフリカ協会とともに、代表チームの継続的な発展につながる包括的な組織体制を構築した」と評価。その上で、「彼一人ではなく、組織全体、南アフリカのラグビー全体が、代表チームにフォーカスしている」と訴えた。

 ガルチエHCは、現在の南アフリカ代表を「世界最高のチームであり、もしかするとかつて存在したことがない最高のチームだ」と言う。「今もまだ新しい選手を輩出し、選手層を厚くしている。彼らは6月からずっと一緒に活動し、試合をしてきた。11月の末まで試合を重ねていく。代表チームに丸ごと与えられたシーズンになっていて、すべてが2027年のワールドカップに向けて構築されている」と続けた。

 この南アフリカと戦うために、特にハイボール獲得の練習をしているシーンがよく見られた。2年前の対戦で苦い思いをさせられた分野だ。

「南アフリカの戦略に対して守るだけではいけない。防御面と攻撃面の両方で戦略を迅速に確立しなければならない」とし、南アフリカ代表を「グラウンド上の15人のハンターだ。彼らは地上でも空中でも獲物を『ハント』し、しかも非常に上手く実行する」「彼らの戦略は明確。『ハンターのチーム』だ」と表現した。その上で、フランス代表が目指す姿勢を宣言した。

「私たちは『ハントされる側』にならないように状況を覆す能力が必要で、それは『ハンターになる』能力を持つことになる」。そして、「そのため、私たちはこの代表チームで10日間かけて、どのように『ハンターのチーム』に変わるかを練習してきた。これが土曜日の最大のテーマだ」とし、「私たちがそれを達成できるかどうか? その答えは、試合を見ていただくことでお分かりになるでしょう」と結んだ。

フランス代表チーム 南アフリカ戦メンバー

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