フランス代表が11月のテストマッチシリーズ「キルターネーションズシリーズ」に向けての42名の準備スコッドを発表した。このスコッドは平均年齢25歳、平均キャップ数17に満たない若い構成となっており、10名の「0キャップ」選手と12名の22歳以下の若手が名を連ねている。
しかし、このリストはほぼ毎週更新されていく予定であるため、一気に若返りを図ろうとしているわけではないだろう。特にフランスの初戦の相手が、ザ・ラグビーチャンピオンシップで2連覇を達成したばかりの南アフリカであることから、試合出場メンバーには代表チームでの経験があり、周囲との連携も取れている選手を中心に選考されると思われる。
クラブ別では、トゥールーズから10名で最多、続いてボルドーとポーから6名ずつ、バイヨンヌから5名が選出されており、今季のトップ14でのこれらのクラブの勢いが反映されている。魅力的なアタッキングラグビーを見せているクラブから多くの選手が選ばれていることが、今後の代表チームのプレーの方針につながるのかも興味深い点だ。
今回のスコッド発表の背景には、多くの負傷者がいる現状がある。
昨年2月のアイルランド戦で負傷したキャプテンのSHアントワンヌ・デュポンは、11月末、もしくは12月初めの復帰に向けてリハビリ中だ。11月1、2日のトップ14第9節の後、トップ14は一時休止。それに伴いクラブも休暇に入るため、デュポンは代表合宿でリハビリの最終仕上げを行うことになっている。
デュポンの他にも負傷でピッチを離れている代表選手は多い。右PRウイニ・アトニオ、右PRテビタ・タタフ、HOペアト・モヴァカ、HOピエール・ブルガリット、FLフランソワ・クロス、CTBヨラム・モエファナ、CTBジョナタン・ダンティ、WTB/FBテオ・アティソベ、WTBギャバン・ヴィリエール、WTBマチス・ルベルと負傷者リストはまだ続く。さらに、7月のNZ遠征で初キャップを獲得し評価を得たPRポール・マレーズ、LOジョシュア・ブレナンもそのリストに加わる。
さらに2020年からフランス代表の背番号「1」をつけ続けている左PRシリル・バイユも足首の不調を訴え、9月20日のモンペリエ戦を最後に試合には出ておらず、特にフロントローが悩ましい。
今年1月に膝の前十字膝靱帯断裂の大怪我を負ったFLシャルル・オリヴォンは戦列復帰してまだ2試合しか出場していない。
一方、FBトマ・ラモスの名前がリストにないのは、父親になったばかりのラモスが、家族とこの幸せな時間を過ごせるよう、2週間の準備期間の前半を『免除』とする代表スタッフの配慮によるものだ。
選ばれた選手は、10月25、26日のトップ14第8節を終えて、パリ郊外のマルクッシにある国立ラグビーセンターに集合し合宿を始めるが、23人の「プロテクト」された選手以外は一旦リリースされ、各クラブで翌週のトップ14第9節に出場することができ、その試合後に新たに招集されることになる。
代表選手の招集に関するフランス協会とLNR(プロリーグ運営団体)の現行の協定は来年6月までとなっており、来年7月に立ち上げが予定されている「ネーションズ・チャンピオンシップ」に向けて、新たな協定の交渉がすでに始まっている。
現地の報道では、フランスはNZ、オーストラリア、日本と対戦予定と伝えられている。
フランスにとって最も大きな課題は選手の健康を守ること。1年でトップ14、チャンピオンズカップ、シックスネーションズ、さらにネーションズ・チャンピオンシップを連続して戦うことは危険とも言えるだろう。
「そのため、私たちはLNRと連携し、年間を通じた試合の計画を策定するための検討をこれまで以上に行う必要があります。フランス代表は、もはや25人の選手ではなく、約40人の選手であり、彼らの健康を尊重し、すべての大会を並行して戦えるようにするための起用戦略を考えなければなりません。ネーションズ・チャンピオンシップは真の大会です。単なる『お飾り』で終わりたくはありません。LNRと選手会(Provale)との新たな議論が必要となるでしょう」とグリル会長が語っていたのは7月のことだった。
そして10月15日、フランス協会とLNR間で新たな話し合いが始まり、協会側は「トップ14の決勝進出者であっても、最高の選手たちを招集したい」という意思を伝えた。
ここ数年、主力選手を欠いたフランス代表が遠征していることに、他のラグビー協会、特に南半球の協会から不満が出ている。
また、この新しい大会はスポーツ面、そして財政面でも重要である。ネーションズ・チャンピオンシップは、これまで行われてきた従来の夏のテストマッチよりもはるかに収益性が高くなると見込まれている。
しかし、財政的な利益は戦績にも基づいて計算される。ここ数シーズンの夏の成績は、11月のテストマッチやシックスネーションズほど芳しいものではない。この状況が続けば、国際シーンでのフランスラグビーのイメージが損なわれることになる。また協会の収益が減ればアマチュアラグビーにも利益がもたらされなくなる。
協会はLNRを説得するための材料を得るために、最初に日本と対戦することを求めている。プレー時間が多く疲労が溜まっている選手やトップ14の決勝戦の出場選手を初戦には出場させないと約束するためだ。
ネーションズ・チャンピオンシップの初戦は、7月4日、5日の週末と予想されており、これはトップ14決勝の翌週に当たる。
しかし、NZ協会は、自国で大会をスタートさせるにあたり、7月4日、5日の週末にフランス代表との対戦を要求しており、このカードを開幕戦として試合の放映権を売却したとされているため、フランス協会の交渉が複雑になっている。
したがって、フランスが要求通りの日程を勝ち取るのは難しいだろうと「ミディ・オランピック」は伝えている。その場合、フランス代表は2戦目と3戦目に、オーストラリア国内でワラビーズと日本代表と対戦し、追加の移動を避けることになるだろうとされている。
協会関係者は、「いずれにせよ、この協定を年内にまとめることが賢明だろう」と話している。
選手の健康を守る重要性が訴えられる中での新大会の創設は、試合数が多いフランスにとって非常に悩ましい状況だ。「選手の健康」と「大会でのチームのパフォーマンス」を両立させる策を見つけられるかが大きな課題だ。
フランス代表スコッド
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— RUGBYRAMA (@RugbyramaFR) October 22, 2025
Qu’est-ce qu’on pense des choix de Fabien Galthié ? pic.twitter.com/PVsxP1IRJO
